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ホーム全日病ニュース(2022年)第1001回/2022年1月1日・15日合併号医療資源重点外来の基準は初診40%以上かつ再診25%以上

医療資源重点外来の基準は初診40%以上かつ再診25%以上

医療資源重点外来の基準は初診40%以上かつ再診25%以上

【外来機能報告WG】名称は「紹介受診重点病院」

 厚生労働省の「外来機能報告等に関するワーキンググループ」(WG)(尾形裕也分科会長)は12月17日、外来機能報告等に関する報告書を大筋でまとめた。医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関(以下、医療資源重点外来を担う医療機関)に関する基準は、外来件数のうち、医療資源重点外来に該当する件数が「初診40%以上かつ再診25%以上」となった。この基準に該当する医療機関は一般病床200床以上の病院の4割に相当する。
 外来機能報告は2022年4月に始まる。対象医療機関を抽出する作業が行われ、9月頃、対象医療機関に外来機能報告を行うことの依頼が来る。都道府県は、10月頃から対象医療機関からの報告を受けて、12月頃に集計する。都道府県での協議は2023年1~3月頃となる。協議が整えば、都道府県は医療資源重点外来を担う医療機関を公表する。
 医療資源重点外来は、①医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来②高額等の医療機器・設備を必要とする外来③特定の領域に特化した機能を有する外来─のいずれかに該当する外来である。
 ①の入院の前後の外来は、診療報酬における◇手術◇処置(1,000点以上)◇麻酔◇ DPC 算定病床の入院料区分◇短期滞在手術等基本料2、3─に該当する前後30日間の外来である。
 ②の高額等の医療機器・設備を必要とする外来は、診療報酬における◇外来化学療法加算◇外来放射線治療加算◇短期滞在手術等基本料1◇検査、画像診断、処置のうち地域包括診療料で包括範囲外(550点以上)◇手術◇病理。
 ③の特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)は、診療情報提供料1を算定した30日以内に別の医療機関を受診した場合の当該「別の医療機関」の外来としている。診療情報提供料1には、一般的な医療機関への紹介も含まれるが、NDB による抽出の基準の設定が困難であるため、今後改善を検討する。
 これまでの議論では、救急医療、透析、高額医薬品も医療資源重点外来に含めることも検討されたが、いずれも含めないことになった。地域の協議の場で考慮するなどして対応するほか、今後の検討事項とする。
 医療資源重点外来を担う医療機関の基準は、外来件数のうち医療資源重点外来の件数の占める割合が「初診40%以上かつ再診25%以上」となった。これは紹介患者に医療を提供するという機能を担う地域医療支援病院の状況を踏まえたものだ。WG の議論で、地域医療支援病院と同程度に医療資源を重点的に活用している病院を基準とすることが妥当とされたためで、具体的には、地域医療支援病院の83%が該当する水準である。
 ただ、全日病副会長の織田正道委員は、「初診40%以上かつ再診25%以上」を地域医療支援病院の17%が満たしていないことを含め、医療資源重点外来を担う医療機関と地域医療支援病院の違いが不明確であることから、地域医療支援病院のあり方を早期に再検討することを求めた。

紹介率・逆紹介率も活用
 医療資源重点外来の基準を満たした場合、地域の協議の場でその意向を確認する。紹介率・逆紹介率なども参考とし、協議が整えば、医療資源重点外来を担う医療機関として都道府県が公表する。
 紹介率・逆紹介率の水準は「紹介率50%以上かつ逆紹介率40%以上」とした。計算式は、現状の地域医療支援病院の紹介率の定義を用いる。
 医療資源重点外来の基準を満たさない場合でも、紹介率・逆紹介率を活用して協議を行い、協議が整えば、医療資源重点外来を担う医療機関となる。
 診療科ごとに外来の状況が異なるという問題に対しては、現状のNDB では診療科ごとのデータ分析に限界があることや、患者にもわかりにくいという指摘があり、まずは医療機関単位で設定する。例えば、ある診療科を標榜する医療機関が一つしかなく、住民への医療提供に支障が生じる地域も考えられる。地域の協議の場で十分な検討を行うことが求められた。
 また、医療資源重点外来を担う医療機関のうち、一般病床200床以上の病院は、紹介状がない患者などへの外来受診時の定額負担の対象となる。詳細は中医協で議論されるが、WG では、両者の関係をわかりやすく説明することを求める意見が出た。
 地域の協議の場の参加者は、「部市区医師会等の地域における学識経験者、代表性を考慮した病院・(有床)診療所の管理者、医療保険者、市区町村等」とした。
 その上で、地域の協議の場には、◇医療資源重点外来の基準を満たすが、医療資源重点外来を担う医療機関になる意向を示さない医療機関◇医療資源重点外来の基準を満たさないが、医療資源重点外来を担う医療機関になる意向を示す医療機関の出席を求め、意見を聴取する。
 なお、協議の簡素化のため、地域の実情に応じて、基準と意向が合致しない理由などの文書の提出を求めるなどの柔軟な対応も可能とする。報告書では、協議の進め方についても明記した。
 医療資源重点外来を担う医療機関の名称は、「紹介受診重点医療機関」(病院・診療所)で合意を得た。病院の場合は、「紹介受診重点病院」になる。

 

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  • [3] 地域医療構想:みんなの医療ガイド | 公益社団法人全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/guide/28.html

    DPCデータの分析から、医療資源投入量と入院日数との関係をみると、入院日数 ... なお、地域医療構想に関するワーキンググループでは、病床機能報告の見直しに向け ...

  • [4] 2021.7.1 No.989

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210701.pdf

    2021/07/01 ... DPC対象病院にヒアリング 3面. 入院医療の調査結果の速報値 4面. 骨太方針2021を閣議決定 5面. 大誠会グループの地域づくり 6面.

  • [5] 2018.6.1 No.918

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180601.pdf

    2018/06/01 ... 構想に関するワーキンググループ」 ... 報・指標等のWGだ。特に、後者は、. DPCデータにより入院患者の医療必 ... 答率の向上を目指し、NDBデータの.

  • [6] 2018.11.15 No.929

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/181115.pdf

    2018/11/15 ... 厚生労働省の地域医療構想に関する. ワーキンググループ(尾形裕也座長). は10月26日、厚労省から地域医療構想. 調整会議の進捗状況について報告を受.

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