全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1009回/2022年5月15日号緊急承認制度と電子処方箋の創設へ 薬機法改正案を審議

緊急承認制度と電子処方箋の創設へ 薬機法改正案を審議


衆議院厚生労働委員会では4月15日に可決した。

緊急承認制度と電子処方箋の創設へ 薬機法改正案を審議

【国会】附帯決議に「かかりつけ医の検討」

 緊急時に新しい医薬品を迅速に承認する制度と電子処方箋の創設を柱とする「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案」(薬機法等改正案)が4月19日、衆議院本会議において全会一致で可決され、同22日に参議院での審議が始まった。衆議院では、かかりつけ医機能の検討や電子処方箋導入に関する支援など、19項目の附帯決議が採択された。
 政府が提出した薬機法等改正案の大きな柱の一つは、緊急時の薬事承認の新たな仕組みを設けること。現在、医薬品を早期に承認する取組みとして、特例承認制度等があるが、新型コロナワクチンや治療薬の日本での承認は海外諸国の認可より遅れた。新たな緊急承認制度はより迅速な承認を可能とするために、医薬品の安全性は従前と同じように確認をするものの、有効性は「推定」の段階で承認できることとする。
 特例承認制度では、対象となるのは海外で流通されている医薬品に限定されたが、緊急承認制度では国内企業が世界に先駆けて開発し、国内で承認申請を行った場合にも対象となる。
 法案のもう一つの柱は、現在は紙で行われている処方箋の運用を電子的に実施する「電子処方箋」の仕組みの創設だ。電子処方箋は、処方箋を電子化したデータを、オンライン資格確認等システムを拡張したシステムを通じてやりとりする仕組み。その運営は、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が担う。運用開始は2023年1月の予定。
 医療機関と薬局を跨いで、患者が処方・調剤された薬剤の情報をもとに、電子処方箋管理サービスで重複投薬のチェックが可能になる。厚労省は、電子処方箋の普及により、重複投薬の抑制につながることを期待している。
 電子処方箋の導入に向けて、後藤茂之厚生労働大臣は、予算額383億円(2022年度)の医療情報化支援基金を活用し、医療機関や薬局でのシステム導入を支援する方針を示している。
 一方、立憲民主党は対案として、「新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案」などを国会に提出した。かかりつけ医を制度化せずに、政府が新型コロナ対応で国民にかかりつけ医に相談するよう求めてきたことを批判。医療を受けられないまま自宅で症状を悪化させて亡くなる「自宅放置死」を今後、発生させないようにするために、「コロナかかりつけ医」を創設することを求めた。
 政府はこれに対し、かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について迅速に検討する姿勢を示した。
 衆院で採択された附帯決議には、「かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について迅速に検討すること」、「コロナ医療対応を強化するためのかかりつけ医への支援等により、高齢者、基礎疾患を有する者等へのコロナ医療に対応するかかりつけ医が増加するよう、かかりつけ医の有効活用の推進を含め、必要な措置を講じること」が盛り込まれた。
 電子処方箋については、医療機関等への早期導入の支援や、負担への配慮が盛り込まれた。このほか、標準規格に準拠した電子カルテの普及促進に向けた医療機関への財政支援も盛り込まれた。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] Untitled

    2011/03/31 ...全日本病院協会の役割は、平時にあってもいかなる非常時にあっても、国民の求めに. 応える医療の提供体制の構築に力を注ぐことです。全日病総研のさらなる ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。