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ホーム全日病ニュース(2022年)第1009回/2022年5月15日号病院機能評価支援モデル病院事業について

病院機能評価支援モデル病院事業について

病院機能評価支援モデル病院事業について

2022年度病院機能評価受審支援事業① 病院機能評価委員会 副委員長 土屋繁之

 2020年度から始まった病院機能評価受審支援モデル病院事業は見切り発進ながら少しづつ成果をあげていると自負している。支援により当該病院が見事認定されたことも成果の一つであるが、100床前後の病院が自院の機能について全く無関心なわけではなく、むしろいろいろな形で悩まれている姿を拝見することになり、この支援事業は決して無駄ではなくしっかり支援しなければならないと感じている。
 日本医療機能評価機構(以下機構)の審査を一度でも受けた病院にとっては病院機能を考えるためのプロセス、ツールは受審するだけで提供され、自院の機能がどの程度なのかを実感できる。しかし、未受審の病院にとって機能評価は遥か遠い世界のように思えているのではないか。つまり実際に受審準備に取り掛からない限り機能評価がどんなものかを永遠に知ることができないと思われる。それこそ機構が最も危惧しているところではないか。
 大病院は否応なしに機能評価を受ける環境を周りから求められ、仕方なく始めてもいろいろな戦術で受審に漕ぎつけることができる。しかし中小病院は業務が支障なく動き、ある程度経営が安定していれば機能評価を知らなくても医療機関としての責任を果たすことができる。実はこの違いが大病院、中小病院との質の面での大きな違いとなっているのではないか。大病院であろうが中小病院であろうが医療の質に違いがあってはならないはずである。しかしマンパワーや資金面では明らかに違いがあるため受審に至るか、至らないかには大きな違いが出てくる。機構は病院を機能種別に落とし込み、評価の要素に沿って準備すればある程度のレベルで評価される病院となるよう導いてくれる。この事実をいかに中小病院に知って頂くかが課題であり、そのきっかけとしてこのモデル事業があると思っている。
 2021年度は新型コロナウィルス感染症の影響で思うような活動ができなかった。しかし今年も諦めずに公募したところ意欲ある病院に出会えた。札幌優翔館病院は受審動機として「よく働き遊べる職場づくりのため業務の標準化と平準化、客観的視点による自己評価と改善が必要」を掲げている。是非ともその意欲に応えられるよう努めたいと思っている。
 医療の質向上は言葉で言うほどたやすくなく、日々の向上心の積み重ねがあって初めて目的に近づけると思う。機能評価受審がその一助となることは疑う余地のないことである。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

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