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ホーム全日病ニュース(2022年)第1009回/2022年5月15日号医療法人の事業報告書等の電子開示システムの構築求める

医療法人の事業報告書等の電子開示システムの構築求める

医療法人の事業報告書等の電子開示システムの構築求める

【財務省・財政制度等審議会】地域医療構想の推進では地域医療連携推進法人制度の活用を強調

 財務省は4月13日の財政制度等審議会財政制度分科会に、社会保障をテーマとした資料を示した。新型コロナ対応の国費投入の状況を踏まえ、効果的な財政支援を行うためにも、医療法人の事業報告書等をデータベース化し、一覧性のある電子開示システムを構築することを提案した。地域医療構想を推進する上では、地域医療連携推進法人制度の活用の必要性を強調した。
 政府は6月中に決定する予定の骨太方針2022に、2023年度予算案を念頭に、社会保障についての方針を盛り込む。
 一方、四病院団体協議会は、電子開示システムの構築には明確に反対を表明している(4頁記事を参照)。

新型コロナ対応で16兆円を投入
 新型コロナ対応としては、病床確保などを目的とした緊急包括支援交付金などにより、これまでで16兆円程度の国費を投入したことを示した。そのうち、医療機関や医療従事者への支援は、ワクチン接種費用を含め、少なくとも8兆円程度と見積もった。その結果、例えば、国立病院機構の経常損益は全体で600億円近い黒字となったという。民間の医療法人については、昨年末の厚生労働省による医療経済実態調査の結果を示し、「コロナ関連補助金を含めれば、堅調であった」とした。
 なお、医療経済実態調査では、医療法人の2019年度と2020年度を比較した損益差額は、コロナ関連補助金を除くとプラス0.1%、含めるとプラス2.3%となっている。
 このような結果を踏まえ、財務省は、医療機関の財政支援にあたっては、「目的ごとに効果的な政策手法を考えるべきである」と指摘。減収への対応では、「感染拡大前など一定の合理的な時点と同水準の診療報酬を支払う手法」が簡便かつ効果的と主張した。
 さらに、医療機関の経営実態を「見える化」するため、「社会福祉法人のWAM NET」を参考として、「社会福祉法に準じた必要な法制上の措置を講じた上で、医療法人の事業報告書等をアップロードで届出・公表し、一覧性のある全国ベースの電子開示システムを早急に整えるべきである」とした。
 また、昨年夏の第5波において、即応病床と申告し、病床確保料を受け取りながらも新型コロナ患者の受入れを伴わなかった病床があったことを踏まえ、「要請先の病床が精神疾患・人工透析・小児など特定の新型コロナ患者に特化した病床であったため受入れができなかったケースなど、病床の機能と患者像に乖離があるやむを得ないケースも存在する」ことを含め、「運用実態の確認結果が公表されるべきである」とした。

地域医療構想の推進求める
 医療提供体制については、地域医療構想の推進が十分に行われなかったことが、「新型コロナへの対応の足枷になったことは否定できない」との考えを示した。地域医療構想の目的は、人口当たりで諸外国と比べて多い日本の病院数・病床数が、医療資源の散在をもたらし、「低密度医療」を招いていることから、その弊害を是正することであると説明している。医療費と病床数との相関が高いことも指摘した。
 地域医療構想を推進するにあたっては、「競争よりも協調」という観点を重視し、具体的には、グループによる一体的運営で、ヒト・モノ・カネ・情報を有効に活用できるとして、「地域医療連携推進法人制度の活用が望ましく、その普及を徹底すべき」と主張した。
 外来医療については、かかりつけ医機能の要件を法制度上明確化した上で、その機能を備えた医療機関をかかりつけ医として認定する制度導入を求めた。

大臣合意の診療報酬改定への反映
 2022年度診療報酬改定については、昨年12月22日の改定率決定の際の大臣合意で、医療提供体制改革に資する個別の改定項目の見直しの方向性が盛り込まれ、改定内容に一定程度反映されたことが報告された。
 具体的には、「看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化」の反映では、「重症度、医療・看護必要度」の厳格化をあげ、「重症者に限らず使用されている心電図モニターの項目を削除した」ことを示した。
 「外来の機能分化につながるよう、かかりつけ医機能に係る措置の実態に即した適切な見直し」の反映では、「かかりつけ医機能に係る加算において、算定要件とする他の診療報酬点数の届出について、算定実績がない場合の評価の厳格化」をあげた。
 また、2022年度改定で導入されたリフィル処方箋の活用に、積極的に取り組む保険者を各種インセンティブ措置により評価することを提案した。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

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