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ホーム全日病ニュース(2022年)第1009回/2022年5月15日号看護の処遇改善の診療報酬での制度設計に懸念相次ぐ

看護の処遇改善の診療報酬での制度設計に懸念相次ぐ

看護の処遇改善の診療報酬での制度設計に懸念相次ぐ

【日病協・代表者会議】過不足が必ず生じることを前提とすべき

 日本病院団体協議会は4月22日、代表者会議を開いた。今年度最初の会合で、10月から実施予定の診療報酬による看護の処遇改善や、医師の働き方改革をめぐる問題、2022年度診療報酬改定の疑義解釈などに関して、意見を交換した。
 議長の小山信彌・日本私立医科大学協会参与からは会見で、以下のような報告があった。また、副議長には、山本修一・地域医療機能推進機構理事長が就任している。
 看護の処遇改善を診療報酬改定により10月から実施するための制度設計を目指し、厚生労働省の中医協総会や入院・外来医療等の調査・評価分科会が議論を開始している。しかし、制度設計の難しさがあり、医療機関が想定通りの収入を得ることができないことや、医療従事者間に処遇改善における不公平が生じることに懸念が相次いだ。
 現在、実施されている看護職員等処遇改善事業補助金においては、対象となる医療機関が特定されている。賃金改善の対象となる職種については、看護職員だけでなく、医療機関の判断で、他の医療従事者の賃金改善に充てることも可能だが、それにより、医療機関に支給される補助金が変わることはない。対象医療機関が救急医療を担う急性期病院に限られるため、賃金改善を受けられる看護職員とそうでない看護職員が出てくる。
 10月以降の診療報酬改定の対応でも、これらの仕組みを踏襲する見込み。このため、様々な不公平が生じることへの懸念が相次いだ。介護報酬による介護職員への処遇改善で生じている問題を改めて整理すべきとの意見も出たという。
 さらに、診療報酬で制度設計する場合には、看護職員数に応じた想定額と実際の診療報酬収入が、患者数の変動により一致しないため、控除対象外消費税対応のように過不足が生じることの問題を指摘する意見が出た。
 控除対象外消費税では、医療機関の類型ごとに、想定通りの補てんが行われているかを検証した結果、補てん不足になっていたことがあった。どんなに精緻に制度設計を行ったとしても、個別の医療機関での過不足は必ず生じるため、そのことを前提に、制度設計を行うべきとの意見が出た。

宿日直許可基準の相談窓口を活用
 医師の働き方改革については、宿日直許可基準の統一化や緩和を求めるため、各病院団体が、与党の会合に出席し国会議員への説明などを行っていることが報告された。日本医師会・四病院団体協議会などの医師の働き方改革に関する要望書を踏まえ、厚労省に宿日直許可基準の相談窓口がホームページに設置されたことから、各病院に活用が促された。あわせて、医師の偏在対策を推進することが、医師の働き方改革を実施することの前提になるとの意見も強調された。

2022年度改定の疑義解釈
 2022年度改定の疑義解釈については、従来の感染防止対策加算が、新型コロナの経験を踏まえ、感染対策向上加算に改組されたことに関して、「加算1」の対象が、現時点では、新型コロナ対応の「重点医療機関」とされた。このため、従来の「1」を算定していた病院が、「重点医療機関」でなければ、新たな「1」を算定できなくなる問題が生じる。そのような医療機関が、少なからずあることが指摘された。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

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