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ホーム全日病ニュース(2022年)第1009回/2022年5月15日号厚労省の議論の進め方に強い懸念示す

厚労省の議論の進め方に強い懸念示す

厚労省の議論の進め方に強い懸念示す

【四病協・総合部会】医療法人の事業報告書の閲覧等に関し四病協で調査

 四病院団体協議会は4月27日、総合部会を開催した。医療法人の事業報告書などを閲覧できるデータベース構築を想定した厚生労働省の議論の進め方に強い懸念が示された。また、地理的に遠い地域に居住する患者へのオンライン診療は望ましくないとの考えで一致した。
 医療法人の事業報告書等については、電子化したデータを都道府県のホームページで閲覧できるようにするとともに、国がデータベース化して全国的な電子開示システムを構築することを政府は検討している。しかし、昨年11月2日の社会保障審議会・医療部会でも、病院団体の委員は、都道府県のホームページでの閲覧の方法では、謙抑的な開示の方法を求めるとともに、電子開示システムの構築については反対を表明している。
 一方、財務省は、財政制度等審議会などで、電子開示システムの構築の必要性を主張し、政府の決定事項としたい考えを示している(3頁記事を参照)。
 厚労省は、医療法人の事業報告書等に係るデータベース構築のための調査研究事業企画検討委員会で、民間シンクタンクにアンケート調査を依頼。病院側の考え方の把握に役立てようとしている。ところが、四病協の出席者が、そのアンケート調査の結果に違和感を表明。偏ったアンケート調査になっていることを示すために、会員に対する緊急調査を実施し、今回結果が示された。
 それによると、四病協調査では、都道府県のホームページでの事業報告書等の閲覧で「リスクの有無」が「ある」と回答した割合は73%、全国的な電子開示システムの構築への「反対」は80%であった。民間シンクタンクの調査では、この割合がずっと低く、調査結果は大きく異なるものであった。
 調査の回答数は、四病協調査が会員病院を対象とし、729病院であるのに対し、民間シンクタンクの調査では、その半分程度となっている。
 会見で、日本精神科病院協会の山崎學会長は、このような状況で今後の議論が進むことに、強い懸念を示し、「抗議の仕方を考えなければいけない」と述べた。
 遠隔医療については、2022年度診療報酬改定で初診からのオンライン診療の要件が設定され、従来のオンライン診療料等の要件から大幅な緩和が行われたことに懸念が示された。
 例えば、オンライン診療を実施する医療機関が患者の容態の急変時に対面診療が困難な場合には、連携医療機関が対応することになっている。遠隔からオンライン診療を実施する医療機関が患者の医学管理を十分に行わず、患者が居住する地域の医療機関に委ねることは望ましくないとの考えが示された。また、自由診療によるオンライン診療の診療前相談で、自院への誘導が行われることへの懸念も示された。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

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