全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2022年)第1011回/2022年6月15日号居住系施設における訪問看護・訪問リハビリのニーズを調査

居住系施設における訪問看護・訪問リハビリのニーズを調査

居住系施設における訪問看護・訪問リハビリのニーズを調査

【高齢者医療介護委員会】特定施設やGHでのサービス利用求める

 「居住系サービス等における医療ニーズの調査研究」の報告書が、高齢者医療介護委員会・介護医療院協議会でこのほどまとまった。
 特定施設や認知症対応型共同生活介護(GH)等の居住系施設の増加が著しいが、これらの施設では、療養上の世話や看取り、自立支援・重度化防止のための訪問看護・リハビリが必要な要介護者が入居する可能性がある。ニーズを把握し、適切に訪問看護やリハビリを提供することが重要だが、特定施設やGHでは、原則として外部の訪問看護・リハビリを利用できない。
 こうした状況を踏まえ調査研究では、居住系サービスにおける訪問看護及びリハビリの提供状況、入居後の医療処置・機能訓練の実施状況、課題等についてアンケート調査を実施するとともに、医療ニーズの評価のために現地ヒアリング調査を実施した。
 調査対象は、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(GH)、非特定施設の有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅であり、介護保険の訪問看護・訪問リハビリを利用できる住宅と利用できない住宅とに分け、横断的な比較を行った。
 アンケート調査の結果、居住系サービスの入居者4,821人のうち、要介護度の「自立」は2.2%にとどまり、96%以上が要支援・要介護者であった。
 傷病としては、「認知症」62.4%が最も多く、次いで「高血圧」44.1%、「糖尿病」14.5%、「変形性関節症」11.4%、「精神疾患」11.3%、「大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の骨折」10.8%、「脳卒中」10.5%であった。
 ケア・マネジメント、ケアプランの目標として健康管理、ADL・IADL の支援、生きがいづくり等、多様な事項を挙げていた。生きがいや社会参加など、本人の望む生活を継続する視点に立ったケアプランの作成に努めていることが把握できた。
 入居者の要介護度、傷病、障害像、ADL・IADLの状況等を6つの住宅種類別に横断的に比較したところ、住まい系サービスの入居者像は類似していることが確認された。非特定施設の有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の入居者のみに、訪問看護・訪問リハビリのニーズがあるとは考えにくく、特定施設やGHの入居者にも一定程度の介護保険の訪問看護・訪問リハビリのニーズがあると考えられる。
 居住系サービスは「住まい」であり、多様な事業者が運営している。医療ニーズにどのように対応するかは、事業者が決めている。入居者は自身の希望とニーズに合ったサービスの「住まい」を選択するが、心身状況や希望は変化することも多く、状況に応じて柔軟に必要な医療・介護・生活支援等を受けられる環境や制度の整備が望まれる。
 調査結果から、居住系サービスにおいて訪問看護・訪問リハビリの医療ニーズがあることが確認された。報告書は、介護保険の訪問看護・訪問リハビリの利用が認められていない特定施設やGHにおいても、必要に応じてサービスを利用できるようにすることが検討課題であると提案している。

 

全日病ニュース2022年6月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。