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2023年度予算概算要求に向け40項目の要望書を提出

【四病協】新型コロナ関連をはじめ物価上昇や医療のＤＸ対応など

　四病院団体協議会は５月25日、2023年度予算概算要求に関する40項目にわたる要望書を後藤茂之厚生労働大臣に提出した。新型コロナ関連をはじめ、ウクライナ情勢の悪化に伴う商品価格の上昇や、医師の働き方改革への対応、医療のDX 関連など病院を取り巻く問題が山積しており、予算措置を求めた。主な要望項目を以下に示した。
（医療機関の経営破綻の防止）
　新型コロナ関連では、外来・入院ともに患者数が減少しており、病院の経営悪化が懸念されている。コロナ病床を通常の病床に戻しても、すぐに患者が戻るわけではない。このため、財政的補助の継続を要望した。感染防護用品や衛生用品などの確保、医療従事者への感染リスクの対応についても、引続き財政的補助を求めた。
（緊急時の感染症対策基金等の創設）
　新たな感染症によるパンデミックに備えるため、柔軟性のある財政的支援ができる国の基金の創設を提案した。都道府県に医療機関への資金拠出のための基金を置くことも要望した。
（世界的なインフレへの対応）
　ウクライナ情勢の悪化に伴い、原油や穀物をはじめ様々な商品の価格上昇が起きている。特に、病院給食においては、小麦や食材料費、光熱水費、物流コストの上昇による価格転嫁が予想される。医療機関の診療報酬による収入は価格転嫁ができないため、「政府による迅速かつ適切な予算措置」を求めた。
（医師の働き方改革に伴う予算措置）
　医師の働き方改革の実施が近づくなか、地域医療を維持している医療機関が、医師の長時間労働を抑えながら、地域医療を維持するには、医師の増員が必要となる。このため、診療報酬以外に医師の人件費に相当する部分への予算措置を要望した。
（病院の看護補助者の処遇改善）
　岸田政権の下で、看護、介護、保育の処遇改善が行われている。介護施設で働く介護職員の処遇改善の仕組みが導入されたのに対し、病院で働く介護職員の処遇改善の仕組みはない。介護施設の介護職と同等の交付金による対応が不可欠である。診療報酬以外での看護補助者（介護職）の処遇改善の予算措置が必要と主張した。
（総合的診療能力開発支援事業）
　高齢患者が増加する中で、臓器別にとらわれない幅広い診療、多様なアクセスを担保する診療、多職種からなるチーム医療のマネジメントが実践できる組織が求められている。現在、日本専門医機構で総合診療専門医の育成が進められているが、総合診療専門医が地域で活躍するには、依然時間がかかる状況にある。
　病院における医師の総合的診療技能の向上は急務であり、総合的診療能力の獲得を促すキャリア支援事業を実施している病院団体に対して、経費補助を行うことを要望した。
（電子カルテの標準化等の経費）
　医療情報化支援基金の対象事業には、電子カルテの標準化に向けた医療機関の電子カルテシステム等の導入の支援などが記されている。その措置の確実な実施に加え、医療機関における初期導入経費への補助金を要望した。
（病院のサイバーセキュリティ対策）
　昨今、複数の病院で電子カルテ等のシステムがランサムウェアに感染し、診療が大幅に制限される事態が発生した。医療機関のサイバーセキュリティ対策の費用を医療機関が負担するのは困難であり、国が費用面での措置を講じるべきで、公的な補助金などの支援を要望した。
（オンライン資格確認の補助金）
　2021年３月からオンライン資格確認制度が始まり、病院では３台導入の場合190.3万円が上限となっている。しかし、病院がレセコンの改修を行うと190.3万円の上限金額に収まらない。医療機関への導入を促進するため、実勢に基づく標準費用を設定し、それを上限とするとともに、2021年４月以降に顔認証付きカードリーダーを申し込んだ医療機関にも、実費の全額を補助することを要望した。
（病院給食の研究の財政的支援）
　今日の病院給食は、病院における調理師確保の慢性的困難による人員不足と、近年の材料費・委託費の増加に伴う収支の悪化という問題を抱えている。病院給食に関する抜本的な構造転換を図る研究のための補助を要望した。