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ホーム全日病ニュース(2022年)第1017回/2022年9月15日号地域医療における医師・薬剤師・看護職員の確保を議論

地域医療における医師・薬剤師・看護職員の確保を議論

地域医療における医師・薬剤師・看護職員の確保を議論

【厚労省・第8次医療計画等に関する検討会】「医師偏在指標の運用に留意を」織田副会長

 厚生労働省の第8次医療計画等に関する検討会(遠藤久夫座長)は8月25日、医師や薬剤師、看護職員の確保について議論した。全日病副会長の織田正道委員から、医師確保について、医師偏在指標は相対的な状況を示すものであるため、機械的な運用を行わないよう求める意見が出された。
 医師の確保については、同検討会の下部組織である「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」(尾形裕也座長)で検討が進められている。WGでは、医師確保計画を通じて、地域の医療ニーズに応じた医師の適正な配置を進めるため、医師偏在指標や目標医師数、医学部定員における地域枠の設定、医師確保計画の効果の測定・評価などの論点を議論してきた。同日の検討会ではWGでの論点を報告し、委員が意見交換を行った。
 織田委員は、「医師偏在指標はあくまでも相対的な偏在状況を表すものとして、機械的な運用を行わないよう十分に留意すると資料に書かれている。目標医師数や医学部の地域枠の設定に至るまで、医師偏在指標が使われているが、全国的な医師偏在指標の運用は厳格にしすぎないほうがよい。ただし、産科・小児科における医師偏在指標は十分に参考にできるものとして扱ってよいのではないか」と指摘した。
 日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「病院と診療所での医師の偏在が現場では大きな問題だ」と指摘し、対応策を検討するよう要望した。
 さらに加納委員は女性医師の就業率が育児を行う年代で低下することへの対応を要請。「今後、医学部の女子入学者数が急増し、将来的には医師の半分以上が女性になると考えている。女性医師の子育て支援を進めるのは大事だが、どうしてもパワーダウンする分野への対応が必要だ」と訴えた。厚労省が示した資料では、医籍登録後12年の女性医師の就業率は76%にまで落ちている(下図を参照)。
 他の委員からは、「女性医師の子育て支援をすると、育児をしていない女性医師や男性医師にも『ゆとりある働き方をしたい』と言う人が増えてきて、これまでの年齢・性別による労働時間の想定が大きく崩れてきている。その現状を厚労省に把握してもらいたい」との意見も出された。
 医師確保については、「医師不足を研修医や専攻医で対応するのは、これ以上は無理だ。今後は40~ 50代の医師の配置も議論すべき」、「地域医療構想と医師確保計画の連携を進めるべき」などの意見も出された。
 医師確保については、WGが議論を続け、年内に報告書をとりまとめる予定だ。

薬剤師確保を記載
 同日のWGでは、薬剤師や看護職員の確保についても議論された。
 薬剤師については、厚労省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が昨年6月にまとめた報告書で、薬剤師の従事先には業態の偏在や地域偏在があると指摘。特に病院薬剤師の確保が喫緊の課題であると問題提起していた。
 薬剤師総数は増加しているが、薬局薬剤師の割合が年々高くなり、病院薬剤師は不足している。また、薬局・病院ともに、薬剤師は人口の多い都市部に集中する一方で、薬局のない地域が136町村(34都道府県)ある。
 第7次医療計画の医療計画作成指針では、薬剤師の「資質向上」についての記述があるが、薬剤師確保に関する記載はなかった。
 厚労省は薬剤師の偏在解消を進めるため、第8次医療計画作成指針においては薬剤師確保についても記載することを提案し、概ね賛成を得られた。病院と薬局それぞれで、薬剤師の就労状況を把握したうえで、薬剤師確保策の策定を都道府県に促す考えだ。
 厚労省は、地域医療介護総合確保基金の支援対象である、薬剤師修学資金貸与や、都道府県が指定する病院への薬剤師派遣の積極的な活用、都道府県と連携した薬学生を対象とした就職活動に係る情報発信を促す方向も示した。
 全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は「世界のOECD先進国のなかで、人口当たりの薬剤師数が日本は最も多いにもかかわらず、病院薬剤師が不足し、都市部などへの地域偏在が著しい。さらに、門前薬局や敷地内薬局の問題もある」と指摘。そのうえで、「病院業務のなかで薬剤師が学ぶことが多々あるので、卒後の病院勤務を制度化すべき」と提案した。

特定行為研修の計画作成を必須に
 看護職については、特定行為研修を修了した看護師の確保などを議論した。第7次医療計画作成指針では、看護師が特定行為研修を地域で受講できるように、指定研修期間および実習を行う協力施設の確保等の研修体制の整備に向けた計画を記載することとしており、実際に計画を記載したのは37道府県となっている。特定行為研修体制の整備について、具体的な数値目標を設定したのは17県にとどまる。
 厚労省は、特定行為研修を修了した看護師を配置した病院では、医師の業務が減少し、病棟看護師の残業時間も減少したことを示す研究結果を提示した。
 それを踏まえて厚労省は、感染症拡大時の体制整備や医師の働き方改革に伴うタスクシフト/シェアを推進するため、第8次医療計画では特定行為研修に関する記載をより充実させる方向を示した。
 都道府県において、特定行為研修の研修体制整備に向けた具体的な計画の策定を必須とするとともに、都道府県・二次医療圏ごとに、特定行為研修修了者や認定看護師など「専門性の高い看護師」の養成数の目標を設定することを提案した。
 加納委員は、看護師が特定行為研修を受講するに当たっては、看護師が所属する病院側の費用面での負担が大きいと訴えた。厚労省は研修の受講費用は地域医療総合確保基金の対象となっていることを説明し、病院が活用することを促した。
 織田委員は、「在宅・慢性期領域のパッケージ研修をもっと受けやすくしてほしい」と要望した。在宅・慢性期領域の研修修了者数は、2020年は22人、2021年は86人となっている。

 

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