全日病ニュース
研修受講が困難な病院や訪看への促進策が課題
研修受講が困難な病院や訪看への促進策が課題
【医道審・看護師特定行為研修部会】第8次医療計画における位置づけも論点に
医道審議会の看護師特定行為・研修部会(國土典宏部会長)は8月22日、特定行為研修制度の現状を確認するとともに、制度の課題をめぐり議論を行った。厚生労働省は、組織の規模などから、研修を受講することが困難な病院や、訪問看護ステーションでの受講促進や研修のあり方などを論点とした。
特定行為研修制度の現状をみると、特定行為研修を行う指定研修機関は、年々増加しており2022年2月現在で319機関、年間あたり受入れ可能人数(定員数)は3,699人。特定行為研修の修了者数も、年々増加しており2022年3月現在で4,832人となっている。
特定行為区分別では、「栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連」の研修を開講している指定研修機関がもっとも多く、次いで、「呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連」と「動脈血液ガス分析関連」が多い。
修了者の年齢別人数(年齢は2021年12月末時点)は、41歳以上が約63%を占める。病院・診療所に就業する修了者の61.5%が、主任・リーダー等以上の職位であり、うち36.7%が師長以上である。
特定行為研修を修了しても、就業先で過去1年間、特定行為を実施していない者の割合は31.6%であった。理由としては、「就業先で特定行為研修修了者が活動できるような体制がない」が最も多い(52.8%)。また、特定行為研修修了者を4人以上配置している病院は、看護師数400人以上の大規模施設が多いという状況にある。一方、訪問看護ステーションの管理者のうち、将来、事業所職員に特定行為研修を受講させたいとの回答は52.0%にとどまる。
これらを踏まえ、厚労省は、今後の特定行為研修制度の推進策として、組織の規模などから研修を受講することが困難な病院・訪問看護ステーションにおける受講促進や研修のあり方を論点にあげた。2024年度からの第8次医療計画における特定行為研修修了者の位置づけや制度の目標値、今後の研修制度のあり方も論点となっている。
全日病常任理事の中尾一久委員は、「高齢者施設でも多くの新型コロナの感染者が出てきた。施設には嘱託医が勤務しているが、新型コロナ患者に対応できる状況ではなく、人手が足りない。特定看護師がいる訪問看護ステーションが高齢者施設に介入できるシステムがあれば、新型コロナ対応にも寄与するのではないか」と述べた。
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