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ホーム全日病ニュース(2022年)第1019回/2022年10月15日号「ポストコロナ時代を生きる」をテーマに全日病学会を開催

「ポストコロナ時代を生きる」をテーマに全日病学会を開催

「ポストコロナ時代を生きる」をテーマに全日病学会を開催

【第63回 全日本病院学会 in 静岡】3年ぶりに現地で開催。参加者は2,200人を超える

 「第63回 全日本病院学会 in 静岡」(学会長=土田博和・全日病静岡支部支部長)が10月1・2日、「ポストコロナ時代を生きる」をテーマに浜松市・アクトシティ浜松で開催された。新型コロナの感染拡大により、現地開催は3年ぶり。参加者は2,200名を超え、懇親会の開催を含め、対面で出会うことへの喜びを分かち合った。学会企画では、ポストコロナ時代の病院経営や地域医療構想などのシンポジウムを開催し、より深刻さの度合いを深めた地域医療の課題を話し合った。医療DXの推進など危機を乗り越えるための方策についての議論も行われた。
 土田学会長は冒頭挨拶で、「新型コロナ対応で医療現場のみなさんは大変苦労されたことと思う。その中で、医療の問題も浮き彫りになった。これからどうやって我々は生きていくか。これまでの苦労を踏まえ、この学会でいろいろな議論を行って、ポストコロナを見据え、意義のある、そして夢のある楽しい体験を持ち帰ってほしい」と会場に呼びかけた。
 全日病の猪口雄二会長は、「テーマはポストコロナ。第7波が収まりつつある中で、今後、病院がどのように経営の舵取りを行っていくのか。多くの人が考えをめぐらしている最中であると思う。病院が質の高い医療を提供できる体制に向け、熱い議論が行われることを期待する」と述べた。
 厚生労働省の福島靖正医務技監は、「現在、全国的に新規感染者が減少しており、それに伴い重症化率も低下傾向にあり、一部を除き医療提供体制への負荷も改善している」と直近の状況を説明した。
 その上で、「ウイズコロナに向けた新たな段階に入っている」とし、感染者の全数調査の届出を見直すことなどにより、重症化リスクの高い感染者への対応に重点化する考えを示した。また、インフルエンザとの同時流行の可能性を指摘。それを考慮した外来体制のあり方を検討しているとした。
 新型コロナの経験を踏まえた今後の課題としては、「医療DX の推進が最大の課題の一つ」と強調。具体的には、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」、「診療報酬改定DX」の3つを指摘した。
 日本医師会の松本吉郎会長は、日医副会長でもある猪口雄二・全日病会長とともに、「医療界が一致団結できる組織を作ることが私の最大のテーマ」と述べた。政財界、省庁と密接な関係構築を図ることも同様に重要視した。
 その上で、「目の前には新型コロナ対応があり、物価高騰があり、かかりつけ医機能のあり方、医療・介護従事者の処遇改善、医療DXなど、さまざまな問題がこれでもかというぐらいやってきている。国民のために、医療界が力を合わせて取り組んでいくことが大事だ」と力を込めた。
 森貴志・静岡県副知事は、静岡県民の健康寿命がトップクラスであり、日本一を目指していることを示すとともに、静岡県は東西に長く、地理的・文化的な広がりがあり、自然と食の宝庫であることを宣伝。静岡県での全日病学会開催を祝した。
 鈴木康友・浜松市長も健康寿命延伸の意義を強調した。浜松市は、大都市の中で健康寿命がほぼ日本一でありその理由として、優れた医療体制や高齢者の就労意欲の高さをあげ、浜松ウエルネスプロジェクトを実施し、予防事業などに取り組んでいるとした。
 静岡県医師会の紀平幸一会長は、地域医師会として、病院勤務医が医師会に加入しやすい体制に向け対応していることを強調した。具体的には、若手医師が静岡県に定着することを目指し、研修医などを対象とした勉強会である「屋根瓦塾」を開催するなど、医師会としての支援を行っているとした。診療所と病院が連携して、地域医療を支えていく体制作りにつながる議論を深めることを求めた。
 四病院団体協議会を代表して日本医療法人協会の加納繁照会長は、医療関係団体が政府・政治に積極的に働きかけたことが大きな力となり、新型コロナ対応への補助金・診療報酬の特例が得られたことを報告した。また、ポストコロナを見据えると、「現在、医師確保計画や外来医療計画を含む第8次医療計画の議論が進んでいる。2024年度には、医療・介護の同時改定がある」と述べ、さまざまな課題に対応していかなければならない状況を指摘した。
 開会式に続いて、日医の松本会長、厚労省の福島医務技監、土田学会長が講演を行い、その後、各会場に分かれてシンポジウムやパネルディスカッション、演題発表などが行われた(全日病ニュースでは、11月1日号、11月15日号、12月1日号にわたって、静岡学会の模様を紹介します)。


土田博和・学会長


猪口雄二・全日病会長


福島靖正・厚労省医務技監


松本吉郎・日医会長


紀平幸一・静岡県医師会会長


加納繁照・医法協会長

 

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