全日病ニュース
病院の看護補助者など介護人材の不足を訴える
病院の看護補助者など介護人材の不足を訴える
【厚労省・医療介護総合確保促進会議】総合確保方針の改定に向け議論
厚生労働省の医療介護総合確保促進会議(田中滋座長)は9月30日、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の改定に向けて議論した。全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員らから、病院における看護補助者を含めた介護人材の確保を求める意見があがった。次回会合で、これまでの意見を踏まえたたたき台が示される予定だ。
総合確保方針の改定に向けては、サービス提供人材の確保と働き方改革を含めた論点を議論している。猪口委員は、「介護人材の不足は深刻。医療機関での看護補助者にも人がいない。人材確保についてはシニアの利用や外国人の活用をどうするか、ICTで何が補えるかなど、具体的な方法を詰めていかないと対応できない」と危機感を示した。
また、「在宅医療介護連携については全国的にみると、市町村で格差がある。もっと力を入れて強力に進めてほしい」、「医療介護のICTを進めていくにあたっては、セキュリティの問題がある。対応するベンダは手一杯であり、国においてもベンダを支援して進めてほしい」と求めた。
全日病副会長の美原盤委員は、「医療機能の集約化で医療の質の向上を期待できるが、各地域で集約化を進める場合に公立・公的病院に偏った方法がとられないように進めてほしい」と要望した。
日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「病院の看護補助者の不足は大変な状況だ。対策としてシニアの方を活用する意見があるが、団塊世代が後期高齢者になってくるにしたがい、シニア世代の看護補助者の確保が困難になっている感じがある」、「基金の対象に病院薬剤師の活用があるときいた。病院薬剤師の確保に対して積極的に奨学金資金貸与事業などで基金の活用ができるよう支援をお願いしたい」との意見を述べた。
一方、地域医療介護総合確保基金の医療分の2022年度内示状況が報告された。全体の内示額(国費)は481.2億円(基金規模701.4億円)。最も多いのは大阪府の36.1億円で、次いで北海道29.2億円、神奈川県27.7億円。最も少ないのは福井県2.5億円となっている。
美原委員は、勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業について、「救急が1千件以上で医師の時間外労働が月80時間以上であることを基金の利用要件としているため、活用できる医療機関は限定されている。内示状況をみると、都市部で利用されているようだが、地方ではあまり利用されていない。医師の残業時間を減らそうと努力してきた医療機関が基金の対象にならないようなあり方が適正と言えるのか検討してほしい」と主張した。
全日病ニュース2022年10月15日号 HTML版
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