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ホーム全日病ニュース(2022年)第1019回/2022年10月15日号「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを発足

「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを発足

「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームを発足

【厚労省】電子カルテ・医療情報基盤と診療報酬改定DXのタスクフォース設置

 厚生労働省は9月22日、「医療DX 令和ビジョン2030」厚労省推進チームを発足させた。骨太方針2022を踏まえ、「全国医療情報プラットフォーム」、「電子カルテ情報の標準化、標準型電子カルテの検討」、「診療報酬改定DX」を3本柱に、医療DXを推進する。加藤勝信厚労相をチーム長に、関係課室長などで構成する。岸田文雄総理大臣を本部長として近く設置予定の「医療DX推進本部」に、進捗状況を定期的に報告する。
 また、「電子カルテ・医療情報基盤タスクフォース」(リーダー=医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官)と「診療報酬改定DX タスクフォース」(リーダー=保険局保険課長)を設置する。
 加藤厚労相は初会合で、「医療DX が進むことにより、医療業務の効率化が図られ、質の高い医療の提供が可能となる。医療現場にも広範な恩恵が及ぶと考えられる。今後、医療DX推進本部の議論に資するべく、3本の柱を具体的に実現するため、精力的に議論を進めていく」と発言した。
 3本の柱のうち、「全国医療情報プラットフォーム」は、オンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、レセプト・特定健診情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、電子カルテ等の医療機関等が発生源となる医療情報について、必要なときに必要な情報を共有・交換できる全国的なプラットフォームとしている。次の感染症危機において必要な情報を迅速かつ確実に取得できる仕組みとしての活用も見込まれる。
 「電子カルテ情報の標準化、標準型電子カルテの検討」のうち、電子カルテ情報の標準化では、「HL7 FHIR」を交換規格とし、交換する標準的なデータ項目や電子的な仕様を定めた上で、それらの仕様を国として標準規格化するとしている。厚労省は、2022年4月に、3文書6情報を厚労省標準規格として採択しており、今後、医療現場での有用性を考慮しつつ、標準規格化の範囲の拡張を推進する方針だ。
 3文書とは、診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書。6情報とは、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急時に有用な検査、生活習慣病関連の検査)、処方情報である。
 「診療報酬改定DX」については、診療報酬改定の際のソフトウエアの改修などに短期間で集中的に対応するため、医療機関やベンダなどに大きな業務負担が生じていることから、「共通算定モジュール」の導入や改定の円滑な施行に関する検討を行うとしている。
 通常の診療報酬改定において、2月上旬に中医協答申により改定内容が決まり、3月上旬に関係告示等がある。改定は4月から施行され、5月10日に初回請求がある。この間に、疑義解釈や変更通知なども出される。
 改定内容を反映させるためのソフトウエアの改修を、短期間で集中的に行わなければならず、2~5月の間、通常の2.5 ~3倍のマンパワーが必要になるという。この負担を軽減するために、例えば、「各ベンダがそれぞれ行っている作業を一つにまとめられないか」といった課題が出てくる。
 このような課題に対応するため、「診療報酬改定DXタスクフォース」の検討事項として、◇共通算定モジュールの導入◇診療報酬改定の円滑な施行を設定した。
 なお、厚労省は推進チーム発足に際し、「医療DX」を次のように規定した。「医療DXとは、保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」。

 

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