全日病ニュース

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5疾病の検討状況の報告受ける

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【厚労省・第8次医療計画検討会】がん計画や循環器病計画との整合性図る

 厚生労働省の第8次医療計画検討会(遠藤久夫座長)は11月4日、第8次医療計画の策定に向け5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)を議題とし、個別疾病の検討を行っている健康局から取組み状況の報告を受けた。検討の方向性としては概ね委員の了解を得た。
 がん対策は第4期がん対策推進基本計画の決定に向けた議論が行われている。医療計画への反映では、◇二次医療圏等との整合が取れる範囲で、柔軟にがん医療圏を設定する◇拠点病院等において、チーム医療の提供体制の整備を進める◇指標において、ロジックモデル等の活用を含め見直す─とした。
 全日病会長(日本医師会副会長)の猪口雄二委員は、「がん医療圏は、がん医療の地域の実態に応じて、二次医療圏にこだわらず、柔軟に設定するべき」と述べた。また、高齢者へのがん治療で、不適切な意思決定・治療が行われているとの指摘を踏まえた意思決定支援の取組みについては、「ぜひ推進してほしい」と強調した。
 脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患については、第2期循環器病対策推進基本計画に向けた議論が行われている。循環器病対策推進協議会では、◇循環器病の指標の更新◇関係する諸計画との連携◇感染拡大時でも機能を維持できる医療体制の整備を検討しており、その内容を医療計画にも反映させる。
 猪口委員は、患者を中心とした包括的な支援体制を構築するため、全国10都道府県程度で先行的に実施している脳卒中・心臓病等総合支援センターのモデル事業について、「例えば、脳卒中と心臓病等のリハビリテーションは方法論も実施施設もだいぶ異なる。これを同じスケールで行うのは無理があるのではないか」と指摘。支援体制のあり方について、十分留意することを求めた。
 糖尿病については、腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会が、中間とりまとめを年内に行うため、健康日本21(第二次)や医療費適正化計画との整合性を図りつつ、その内容を医療計画に反映させる。検討の方向性としては、厚生労働科学研究で提案された指標案を踏まえ、「予防」、「治療・重症化予防」、「合併症の治療・重症化予防」を軸に整理する。また、新型コロナの経験を踏まえ、地域の実情に応じて、多施設・多職種による重症化予防を含む予防的介入や、治療中断対策などを含むより継続的な疾病管理に向けた診療提供体制の整備などを進めるとしている。
 精神疾患については、「普及啓発、相談支援」、「地域における支援、危機介入」、「診療機能」、「拠点機能」の段階ごとに、ストラクチャー、プロセス、アウトカムの厚生労働科学研究における各指標例の見直し案が示された。また、精神病床の基準病床数については、地域移行を促す基盤整備や治療抵抗性統合失調症治療薬の普及、認知症施策などの政策効果等の要因を勘案して、将来推計を行うとしている。新たな算定式を用いた精神病床の入院患者数の推計をみると、2020年で27.3万人の入院患者は、2029年には23.9万人に減少する見込みとなっている。

 

全日病ニュース2022年11月15日号 HTML版

 

 

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