全日病ニュース

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電子処方箋で事務連絡

電子処方箋で事務連絡

【厚労省】四病協からは拙速な運用に懸念の声

 厚生労働省は10月28日、電子処方箋管理サービスの運用に関して、都道府県などに事務連絡を行った。事務連絡では、電子処方箋のメリットや電子処方箋管理サービスの考え方、電子署名の活用、電子処方箋の運用、患者への説明と理解を求める取組み、サービス停止時への対応などについて整理している。
 先の国会で成立した改正薬機法などにより、電子処方箋の実施が可能となり、政府は来年1月をめどに運用を開始する予定だ。10月31日には、モデル事業が始まった。2023年3月末までに、オンライン資格確認等システムを導入する医療機関・薬局の7割、2025年3月末までにオン資システムを導入するすべての医療機関・薬局が、電子処方箋を開始することを目指している。
 医療DX を強く推進する政権の強い意向を踏まえた政府の動きだが、11月2日の四病院団体協議会・総合部会でも、電子署名の活用を含め、拙速な運用開始には、強い懸念が示されており、今後の政府の対応が注目される。

オン資システムを活用
 電子処方箋とは、オンライン資格確認等システムを拡張し、現在紙で行われている処方箋の運用を電子的に実施する仕組みのこと。医療機関のメリットとしては、医療機関・薬局間での情報の共有が進むことや、紙を印刷するコストの軽減、処方箋の偽造・再利用・誤入力の防止、不必要な処方・調剤や併用禁忌による有害事象の回避などをあげている。
 電子処方箋の運用においては、まず医療機関でマイナンバーカードまたは健康保険証により、患者の本人確認・同意が行われる。医師は過去の情報をチェックし、処方箋を登録する。電子処方箋管理サービスのシステムを通じ、患者は本人確認・同意を経て、薬局で処方箋を取得し、調剤を受ける。薬局で薬剤師は、過去の情報をチェックし、調剤内容を登録する。患者はマイナポータルやお薬手帳アプリでこれらの情報を閲覧できる。
 医師・歯科医師は、患者に交付する処方箋に記名押印または署名をしなければならず、処方の電子化でもそれが「引続き必要」としている。そのため、「医師等の国家資格の確認が電子的に検証できる電子署名または電子署名とその電子署名に紐づく医師等の国家資格確認との組み合わせを用いる」ことを求めている。電子署名は、「安全管理ガイドラインの 6.12 に規定される電子署名」とし、「医師、歯科医師、薬剤師自らが行う必要がある」とした。

 

全日病ニュース2022年11月15日号 HTML版

 

 

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