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ホーム全日病ニュース(2023年)第1025回/2023年2月1日号報告事項にオンライン資格確認など6項目を追加

報告事項にオンライン資格確認など6項目を追加

報告事項にオンライン資格確認など6項目を追加

【厚労省・医療情報提供内容検討会】都道府県の医療情報提供制度への医療機関の報告事項

 厚生労働省の「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(尾形裕也座長)は1月12日、医療機能情報提供制度の報告項目の追加について、大筋で了承した。同日の委員からの意見を踏まえ、報告事項の詳細は改めて調整するが、年度内に6項目を告示で追加する予定だ。
 医療機能情報提供制度では、病院などに対して、医療を受ける者が病院等の選択を適切に行うために必要な情報(医療機能情報)について、都道府県への報告を義務付け、都道府県がその情報を集約し、わかりやすく提供する制度。医療に関する制度や保険診療における診療行為など、医療法以外の制度の事項も報告項目として設定しているが、担当部局などからの要望を受けて、定期的に報告項目の見直しを行っており、今回も見直しを検討することになった。
 追加する6項目は、①一般不妊治療、生殖補助医療②オンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)により取得した診療情報の活用③電子処方箋の発行④医師少数区域経験認定医師⑤救急救命士、管理栄養士、栄養士⑥医療安全対策─となっている。
 「一般不妊治療、生殖補助医療」は、「対応することができる疾患または治療の内容」の報告項目に追加する。2022年度診療報酬改定により、生殖医療ガイドラインを踏まえ、一定のエビデンスのある医療技術が保険適用されている。
 医療保険被保険者のオンライン資格確認については、報告項目に「オンライン資格確認(マイナンバーカードの保険証利用)により取得した診療情報を活用した診療の実施の有無」を追加する。
 オンライン資格確認は、来年度から医療機関・薬局に原則義務化される。ただ、紙レセプトを使用している医療機関・薬局は除外されるほか、昨年12月23日に中医協が答申した療養担当規則の改正省令では、オンライン資格確認を導入できない、やむを得ない事情がある医療機関・薬局に対して、それぞれの事情に応じた経過措置が新たに設定された。
 電子処方箋については、報告項目に「電磁的記録をもつて作成された処方箋の発行の可否」を追加する。電子処方箋はオンライン資格確認の仕組みを活用し、医療機関・薬局の義務ではないが、今年1月から運用が始まっている。
 医師少数区域経験認定医師については、提供サービスや医療連携体制に関する報告項目に、「人数」を追加する。医師少数区域等の医療に従事した医師を厚生労働大臣が認定している。
 救急救命士、管理栄養士、栄養士の職種については、それぞれ人員配置の報告事項に追加する。救急救命士は、救急救命処置が行える場所に病院前だけでなく、救急外来が加わった。管理栄養士や栄養士については、配置を評価する診療報酬項目などが増えている。これらのことが背景にあると考えられる。
 医療安全対策については、第8次医療計画の目標に関連し、「病院等の管理者に医療事故調査制度についての理解を促すための研修の受講割合」、「病院における医療安全の取組への客観的な評価により、当該取組を推進していくため、他の病院から医療安全対策に関して評価を受けている、または第三者評価を受審している病院数の割合」を新たな項目として盛り込むことになった。
 このため、医療安全対策に関する報告項目に「医療事故調査制度に関する研修の管理者の受講の有無」、「医療安全における医療機関の連携による評価の実施の有無」を追加する。
 また、現行の医療計画の項目である「医療安全管理者の配置」などを診療所等の報告項目とするほか、医療の評価機関として厚生労働大臣が定めるものとして、「一般財団法人日本品質保証機構」(JQA)を追加する。
 これらの提案に対し、委員からさまざまな意見が出たが、項目に追加すること自体への強い反対はなかった。
 ただ、日本医療法人協会副会長の小森直之委員は、「報告事項はできるだけシンプルに、医療機関になるべく負担をかけないという方向性で、この場で議論してきた。医療機能情報提供制度以外で、医療法人の経営情報のデータベース構築でもさまざまな報告が求められている。システムの工夫も行われているが、医療機関にとって、報告にかける時間が増えていくことは問題だ。国民・患者にとって有用性のある情報を提供するという観点で、報告事項とするかを判断すべきで、なんでもかんでも報告するということではないと思う」と述べた。

医療機能情報提供制度の全国統一
 また、現在、医療機能情報提供制度は全国統一システムの稼働に向け、作業が続けられている。全国統一システムでは、全国のデータを集約することになり、医療機関は共通基盤(G-MIS)を通じて、各項目のデータを報告する。厚労省は、G-MIS の活用により医療機関の負担が軽減すると説明している。全国統一システムとG-MIS の設計は、今年10月までに完成する予定であり、それ以降に医療機関へのアカウント付与などサービス開始が順次始まる。住民・患者が全国統一システムによる医療情報を閲覧できるようになるのは、2024年度頃と想定されている。
 なお、かかりつけ医機能が発揮される制度整備に関する検討も進められている。まずは、法案を国会で成立させる必要があり、かかりつけ医機能の具体的な検討はその後となる。したがって、全国統一システムを開始する段階で、医療機関のかかりつけ医機能の医療情報が含まれる可能性は低い。

ネットパトロール事業の現況
 そのほか、ネットパトロール事業の報告があった。医療機関のホームページに起因する美容医療サービスに関する消費者トラブルなどがあり、厚労省が作成するガイドラインに違反するホームページに対するネットパトロール事業が実施されている。
 2021年度末時点の対応状況をみると、通報受付による違反ありのウエブページは748サイト(1,087施設)、委託事業者によるネットパトロールの監視での違反ありのウエブページは99サイト(113施設)であった。通報受付件数の86%、監視件数の93%が改善している。

 

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