全日病ニュース
受審支援モデル病院への支援について
受審支援モデル病院への支援について
【2022年度病院機能評価受審支援事業④ 第2回病院訪問支援】
病院機能評価委員会 副委員長 診療担当サーベイヤー 土屋繁之
この事業は2000年から始められ、今回で3番目の病院となる。100床前後で意欲のある病院を支援し、機能評価受審に繋げようという意図で始められた事業であるが、今回はまさにこのモデル事業にふさわしい病院ではないかと感じている。
札幌優翔館病院は長きにわたり地域の慢性期医療、在宅医療を主たる機能として地域貢献してきた。しかし2年前に新しい院長をお迎えし、急性期~回復期の充実を図り切れ間ない医療を提供できる病院にしようと大きな転換を図ることとなり、そのきっかけとして病院機能評価認定を目標とし、職員一丸となって受審するため、このモデル事業に応募してきた。
すでにご報告させていただいているが、事務管理に関しては当委員会の朝見浩一委員が昨年8月に先乗りし、機能評価受審のいろはを指導した。そして去る2023年1月19日に看護担当の柴田雅子委員と診療担当の私とでお邪魔して、それぞれ担当分野について現時点での状況確認をさせていただいた。
細かいところは今後委員会としてしっかりご支援申し上げ機能評価受審・認定に繋ぎたいと考えているが、現在の札幌優翔館病院はまさに機能評価未受審病院の典型的な病院であり、毎日の業務をこなすために日々忙しく働いて結果を残しているが「機能評価を受審するためには何をしたら良いのか。何から始めれば良いのかが解らない」状況にある。院長・看護部長・事務部長ら幹部の“やる気”があり個々の能力も高いのだが、どのような準備をすれば良いのかの手がかりすらない状態である。さらに昨年11月に電子カルテを導入したため、機能評価受審も含めて整理しなければならないことが山積しており、現場は混乱しているように感じた。
具体的には機能評価受審の入り口である「患者の権利」も作成されておらず、また説明と同意の基本的な手順も明確となっていない。日々の業務では間違いなく患者の権利は尊重され、寄り添った医療が提供されているはずである。また侵襲を伴う手術、検査や処置に関しても患者・家族にはしっかり説明がなされ同意を得ているはずである。しかしそれぞれの内容を担保する手段が講じられていないだけである。この違いを埋め、正しい方向性を示すことが機能評価受審の大きな一歩である。札幌優翔館病院には機能評価受審が自院にとってどのような位置づけにあり、どのように役立つのかをしっかり認識して準備していただきたいと思っている。
100床前後の病院であっても医療という業務上、大病院に匹敵するような質を求められることも少なくない。しかし自力で質向上の準備をすることはマンパワーが豊富な大病院と違い大変なことである。そのために少しでも私たちがお役に立てれば幸いであり、札幌優翔館病院はこれからが大変であろうが、是非とも次のステージにたどり着いていただきたいと願っている。
全日病ニュース2023年3月15日号 HTML版
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