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ホーム全日病ニュース(2023年)第1028回/2023年3月15日号電子処方箋の普及に向けて費用負担が課題

電子処方箋の普及に向けて費用負担が課題

電子処方箋の普及に向けて費用負担が課題

【厚労省・電子処方箋推進協議会】過渡期は業務が煩雑になる面も

 厚生労働省は2月27日、電子処方箋推進協議会を初めて開催した。電子処方箋の導入状況や利用施設を増やすための取組みを議論した。医療提供側からは、費用負担が課題との意見が出された。
 電子処方箋は1月26日に運用がスタートし、2月19日時点で全国684施設において利用されている。
 加藤勝信厚労相は、「電子処方箋は、紙の処方箋を単に電子化するものではなく、薬剤情報をリアルタイムで共有でき、患者さんがお薬手帳を持参しない場合でも、注意すべき飲み合わせや重複投薬の自動チェックが可能になるなど、医療DX を推進するための柱となる。医療のあり方を抜本的に改革する取り組みだ」と導入の意義を強調。「全力で推進に取り組む」と述べた。
 システムの運用面について加藤厚労相は、「概ね問題なく稼働している。飲み合わせや重複投薬等のチェックが約44万件実施され、4.5%が重複投薬等として検知された。現場の医師からは日頃の入力作業が迅速化したなどの意見をもらっている」と述べた。
 一方、電子処方箋の普及に向けた課題としては、オンライン資格確認導入のための作業が優先され、システムベンダの業務がひっ迫し、電子処方箋のシステム改修に対応するための余力が乏しいことがある。また、電子署名に必要なHPKI カードへのニーズが急増したため、医師や薬剤師の方々の手元に届くのが遅れている事情もある。
 厚労省は、電子処方箋システム導入に対応可能なシステムベンダ21社のリストを示した。HPKI カードの発行体制も強化し、システム改修終了施設へのカードの早期発行やカードレス署名の導入促進に取り組むとした。
 日本医師会常任理事の長島公之委員は、導入費用の負担が課題と強調。医療情報化支援基金による補助金の補助率や上限額が低いなどの問題に対して、「導入費用全額を国がもつことで、普及が急速に進むはずだ」と述べた。
 全日病副会長の美原盤委員は、普及への過渡期では、処方箋の発行が紙と電子の2形態となり、業務は効率化されるどころか、煩雑になるおそれがあると指摘した。モデル事業に参加した日本海総合病院院長の島貫隆夫参考人も、「受付事務の業務が増えている」と述べた。

 

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