全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2024年)第1058回/2024年7月1日号かかりつけ医機能報告の1号機能案で意見分かれる

かかりつけ医機能報告の1号機能案で意見分かれる

かかりつけ医機能報告の1号機能案で意見分かれる

【社保審・医療部会】できるだけ多くの医療機関が参加できる仕組みが望ましい

 社会保障審議会・医療部会(遠藤久夫部会長)は6月7日、かかりつけ医機能の制度整備をめぐり議論を行った。全日病副会長の神野正博委員は、かかりつけ医機能報告における2号機能(時間外診療や在宅医療、介護との連携)を報告する上で満たさなければならない1号機能について、不眠や発熱、頭痛など35項目のうち20項目以上の具体的な症状に対応できることの報告を条件にするのではなく、できるだけ多くの医療機関が機能報告に参加できる仕組みにするべきと主張した。
 かかりつけ医機能報告で求める1号機能は「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」を確認するものであり、1号機能が「可」でないと2号機能を報告することができない。1号機能がかかりつけ医機能を備える医療機関の最低条件になってしまうため、医療部会でも「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」と同様に、1号機能の議論が中心になった。
 1号機能には案1~3があり、次に掲げる事項の可否等の報告を求める。案1は、臨床研修の到達目標における「経験すべき症状・病態・疾患」の「頻度の高い症状」である35項目のうち必修の20項目以上に対する一次診療を行うことができる案2は、①「具体的な機能」「報告事項」を院内掲示②かかりつけ医機能に関する研修修了者または 総合診療専門医がいる③17の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域において一次診療ができる④17の診療領域ごとの患者からの相談の対応可能の有無、いずれかの診療領域について患者からの相談に応じることができる案3は、①「具体的な機能」「報告事項」を院内掲示②かかりつけ医機能に関する研修修了者の有無、受講者の有無、総合診療専門医の有無
 神野委員は、「地域完結型の医療・介護提供体制において、紹介を受ける紹介受診重点医療機関以外は基本的に紹介する側のかかりつけ医機能を担うべき医療機関になるのだから、できるだけ多くの医療機関が、かかりつけ医機能を支える制度整備に参加することが望ましい」と述べた上で、案1~3についての考えを示した。
 案1の35項目の症状については、「医師臨床研修で身に付けることが求められている症状であり、医師としてできることが当たり前。そうでないと、厚労省が進めてきた医師臨床研修制度を否定することになってしまう。したがって案1を採用することはナンセンス」と述べた。
 案2についても、「年月を経た後に、特定の分野について自信がなくなったのなら、研修を受けて補えればよい。研修を受けた人数を報告することはありだと思うが、必須とすることには反対」と主張し、案3に理解を示した。
 他の医療団体の委員からも同様に、できるだけ多くの医療機関がかかりつけ医機能を担う医療機関となってもらうようにする仕組みが望ましいとの意見が相次いだ。
 一方で、今回のかかりつけ医機能の制度整備の目的の一つが、「国民・患者がそのニーズに応じて医療機能情報提供制度等を活用して、かかりつけ医機能を有する医療機関を選択して利用できる」ことであることを踏まえ、保険者団体や患者団体の委員からは、案1を軸に検討すべきとの意見が出た。

 

全日病ニュース2024年7月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。
不眠  可否  発熱