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ホーム全日病ニュース(2024年)第1059回/2024年7月15日号関係団体等ヒアリングの結果踏まえ論点提示

関係団体等ヒアリングの結果踏まえ論点提示

関係団体等ヒアリングの結果踏まえ論点提示

【厚労省・新たな地域医療構想検討会】秋頃に中間まとめ、年末に最終まとめ

 厚生労働省は6月21日の新たな地域医療構想等に関する検討会(遠藤久夫座長)に、4回にわたって行った関係団体・有識者からのヒアリング結果を踏まえ、新たな地域医療構想の論点案を示した。ただ、検討する論点の範囲があまりに広く、入院・外来・在宅医療等の需要推計に基づく改革モデルの提示を含め、今後の議論でどのように論点を整理していくかが課題だ。
 同日、閣議決定された政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2024にも、法制上の措置を含め2024年末までに新たな地域医療構想の結論を得るとの方針が明記された。今後、同検討会で議論を続け、秋頃に中間まとめ、年末に最終まとめを行う予定だ。
 論点では、新たな地域医療構想の方向性(総論)に続き、具体的な内容として◇入院(病床の機能分化・連携等)◇外来医療、在宅医療◇医療・介護連携◇人材確保◇医療機関機能、構想区域、医療提供体制のモデル◇地域医療構想調整会議、地域医療介護総合確保基金、都道府県知事の権限、市町村の役割等─をあげた。総論については今回、イメージ案も示した。
 総論のイメージ案では、新たな地域医療構想が、「2040年頃を見据えて、85歳以上人口の増加、生産年齢人口の減少に伴い、医療従事者の確保が困難となることが見込まれる中で、地域ごとに在宅医療や医療・介護複合ニーズ等の増加、生産年齢人口に係る医療需要の減少等に対して、医療機関等が機能に応じて連携するとともに、介護施設・事業者・住まい等とも連携しながら対応することにより、持続可能な質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指すもの」であるとまとめている。
 その際に、大都市部、地方都市部、過疎地域などの地域差に留意しながら、下図のようなイメージを示し、「身近な地域におけるかかりつけ医機能やそれを支える入院機能等、より広い区域における二次救急等を受け入れる機能、さらに広い区域における三次救急や人材確保等の拠点となる機能等の確保など、階層的に地域で必要な医療提供体制の確保を目指す」とし、別途議論されているかかりつけ医機能の制度整備と両輪で推進する考えを示した。
 現状の地域医療構想では、機能ごとに2025年の病床の必要量を推計し、医療機関から現在の病床機能と将来の方向性を報告。地域で協議を行うことで病床機能の分化・連携を促してきた。
 新たな地域医療構想でも医療ニーズと医療資源の需給関係を量で示すことになる。その場合に、「2040年頃を見据えて、将来の病床・外来・在宅等の医療需要の推計や医療従事者の確保」を見込み、現状投影と複数の改革モデルを提示する方向であり、現状の地域医療構想よりも複雑化する。
 機能に過不足がある場合は、地域の協議の場に多くの関係者が参集して、議論することになるため、利害調整がより難しくなることも想定される。厚労省は、国として、「地域の類型(大都市部、地方都市部、過疎地域等)ごとの医療需要の変化に対応する区域のあり方や医療提供体制のモデル(医療DX、遠隔医療等の取組の反映)を示す。地域の協議の参考となる地域診断のデータを示す」とした。
 また、中長期的な将来ビジョンを示す地域医療構想と、6年を計画期間とする医療計画の関係を明確化し、現状では医療計画の中の計画の一つとして、地域医療構想が位置付けられていることの是非を含め、必要に応じて、法制上の措置を講じる考えも示された。

病院機能や基準病床数も論点に
 全日病会長の猪口雄二構成員は、ヒアリングで発表した全日病の新たな地域医療構想に対する意見として、患者にとって医療機能別の病床よりも病院機能を類型化して示したほうがわかりやすいと主張したことの論点への反映を質問した。
 厚労省担当者は、「医療機関機能に着目して、医療機関の役割分担・連携を推進することをどのように考えるか」、その際、「身近な地域における高齢者等の外来・在宅・救急・入院・介護連携等の包括的な支援機能、二次救急等を受け入れる機能、三次救急や人材確保等の拠点となる機能など、医療機関機能の機能区分、報告や協定等の手法のあり方について、どのように考えるか」を論点に明記したと説明した。
 猪口構成員は、機能別の病床の必要量と基準病床数の関係をどう議論していくかも質問。特に、基準病床数の計算式に問題があり、病床の必要量では過剰病床と判断されるのに、基準病床数では病床不足と判断される地域があることを問題視した。厚労省担当者は、「将来の病床の必要量と基準病床数との関係」を論点に入れたと説明した。

 

全日病ニュース2024年7月15日号 HTML版

 

 

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