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ホーム全日病ニュース(2024年)第1063回/2024年9月15日号2025年度概算要求額は34兆2,763億円で過去最高

2025年度概算要求額は34兆2,763億円で過去最高

2025年度概算要求額は34兆2,763億円で過去最高

【厚労省】薬価の中間年改定を含め、予算編成で社会保障抑制策を検討

 厚生労働省は8月28日、2025年度政府予算案の概算要求を公表した。要求額は34兆2,763億円となり、対前年度比4,574億円増で、過去最大となった。大部分を占める年金・医療等に係る経費は32兆4,375億円で同3,677億円増だが、最近の傾向と比べると低い水準。一方、重点施策に対し多くの予算を振り分ける重要政策推進枠には1,508億円を要望した。
 物価高騰対策や賃上げ環境整備対応などの重要政策は、概算要求段階では要求額を定めない事項要求とし、今後の予算編成過程において検討する。
 6月に閣議決定した2025年度予算案の基本方針では、年金・医療等に係る経費、いわゆる自然増を4,100億円とした。年金・医療等に係る経費は高齢化に伴い必然的に増加するので自然増として認められている。2025年度は団塊の世代がすべて75歳を超え、対前年度比での伸びが鈍化するため、最近の傾向よりも低い金額となった。
 ただ、4,100億円がそのまま認められるわけではない。子ども・子育て政策の財源を賄うため支援金を創設するが、それによる国民負担を発生させないことが政府方針となった。このこともあり、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋」などを踏まえ、社会保障費はさらに抑制する方向にある。今後の予算編成の中で、自然増を圧縮する歳出抑制の具体策が議論される。
 薬価の中間年改定の実施の是非や実施方法についても、予算編成過程で検討する。また、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に基づく社会福祉施設等の耐震化等についても、予算編成過程で検討する。
 なお、年金・医療等に係る経費の伸びが3,677億円で4,100億円を下回るのは、子ども・子育て政策の内閣府予算で400億円増を計上するためだ。

医療提供体制確保のための予算要求
 2023年度厚労省予算案における重点要求の3本柱は、「全世代型社会保障の実現に向けた保健・医療・介護の構築」、「持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進」、「一人一人が生きがいや役割を持つ包摂的な社会の実現」となっている。
 病院に関係する予算の多くは、「全世代型社会保障の実現に向けた保健・医療・介護の構築」に含まれる。このうち、「医療・介護におけるDX、地域医療・介護の基盤強化の推進等」は対前年度比で157億円増の358億円、「医師偏在対策・地域医療構想・かかりつけ医機能等の推進」は同37億円増の915億円、「地域包括ケアシステムの推進」は同57億円増の2,531億円、「救急・災害医療体制等の充実」は同12億円増の122億円である。
 医療DX関連の新規・推進枠の事業では、診療報酬改定DXの施設基準の届出の電子化推進(6.0億円)や医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業(3.5億円)、医療安全のさらなる向上・物流DXの推進に資する製品DB の構築事業(1.9億円)などがある。
 病床の機能分化・連携や在宅医療等の推進、医療従事者等の確保、勤務環境の改善などのため、地域医療介護総合確保基金(医療分)には、対前年度同額の733億円を要望した。
 かかりつけ医機能の制度整備の関連では、総合的な診療能力を持つ医師養成の推進事業について、予算拡充(3.0→5.6億円)を推進枠で要望した。新規の推進枠では、かかりつけ医機能研修事業(2,000万円)を要望。医療関係団体に対し、研修体制の整備などにかかる経費の補助を行う。かかりつけ医機能報告の制度運営では、対前年度比同額の7,500万円を要求し、調査・検証や資料作成、説明開催などを行う。
 かかりつけ医機能報告制度を含めた医療機能情報提供制度の全国統一システムの運用・保守・改修等の経費は前年度の2.1億円から19億円の大幅増を推進枠として要望。かかりつけ医機能報告においては、医療機関が報告をG-MIS(医療機関等情報支援システム)で行えるようにする。
 医師の働き方改革関連では、新規の推進枠で「医師の働き方改革普及啓発事業」(1.5億円)として、インターネットの動画放映やポスターの作成などを実施する。同様に、新規の推進枠で「医師の働き方改革にかかる地域医療への影響等に関する調査事業」として、8,100万円を要望した。「在宅領域におけるタスク・シフト/シェア促進事業」(3.4億円)の推進枠の要望もある。
 救急災害医療等の関連では、「救急現場に出動するドクターカー活用促進事業」として9,000万円を推進枠で要望した。救命救急センターに対して、ドクターカーの導入・運用に必要な経費に対する財政支援などを行う。新EMIS(広域災害・救急医療情報システム)は前年度比倍増の3.4億円を要求。ユーザーインターフェイスの向上やデータを収集・分析する機能の充実、他システムとのデータ連携方法を確立した新EMISの利用料としている。
 災害医療関連では、災害派遣医療チーム(DMAT)体制整備事業として、前年度の8.0億円の拡充で9.2億円を推進枠として要望する。国立病院機構本部や兵庫県災害医療センターにおいて、DMAT隊員養成研修や災害等危機管理専門家養成コースなどを実施する。災害派遣精神医療チーム(DPAT)体制整備事業でも、前年度の6,400万円の拡充で6,900万円を推進枠として要望する。委託事業者がDPAT隊員養成研修や事務局運営などを実施する。

 

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