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ホーム全日病ニュース(2024年)第1065回/2024年10月15日号年齢に関わらない活動機会の拡大で持続可能な社会へ

年齢に関わらない活動機会の拡大で持続可能な社会へ

年齢に関わらない活動機会の拡大で持続可能な社会へ

【内閣府・高齢社会対策大綱】地域包括ケアシステム構築を推進

 内閣府は9月13日に高齢社会対策大綱を閣議決定した。2018年以来6年ぶりの改訂となった新たな高齢社会対策大綱では、高齢者の割合が大きくなる中で持続可能な社会を築いていくため、①年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築②一人暮らしの高齢者の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安心して暮らせる社会の構築③加齢に伴う身体機能・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築―を基本的な考え方として示した。
 基本的施策では、「地域包括ケアシステム構築の深化・推進」や「持続可能な高齢者医療制度の運営」などを盛り込んだ。
 人口構成や社会構造の変化に伴い、経済社会の担い手不足、経済規模の縮小のほか、一人暮らしの高齢者の増加や、認知機能が低下する高齢者の増加などに伴う様々な課題が懸念される。一方で、高齢者の体力的な若返りや、65歳以上の就業者が増加し続け、就労意欲も高いといったプラスの傾向もある。これらを踏まえて、年齢によって分け隔てられることなく、若年世代から高齢世代までのすべての人が、それぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会を目指していくことが必要とされている。
 基本的施策では、「持続可能な介護保険制度と介護サービスの充実」として、「地域包括ケアシステム構築の深化・推進」をあげた。医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上人口の急増を見据え、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、在宅医療や在宅介護の質・量両面での充実を含め、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を一層進めていくとした。
 「持続可能な高齢者医療制度の運営」では、後期高齢者の窓口3割負担の判断基準の見直しを2028年度までに実施することが検討されていることを踏まえ、現役世代の負担増加や、2022年10月に施行された後期高齢者医療制度における2割負担導入の状況等に留意しつつ、検討を進めるとした。
 「認知症施策の総合的かつ計画的な推進」では、認知症基本法を踏まえて、誰もが認知症になりうることを前提に、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望をもって暮らすことができる社会を実現するため、「認知症施策推進基本計画」を策定し、認知症施策の総合的かつ計画的な推進を図るとした。また、認知症の早期発見・早期対応が行えるよう、かかりつけ医、地域包括支援センター、認知症地域支援推進員、認知症サポート医、認知症初期集中支援チーム、居宅介護支援事業所、認知症疾患医療センターを含む専門医療機関等で、地域の実情に応じた機能強化や各機関の連携強化を図るとした。
 「人生の最終段階における医療・ケアの体制整備」については、医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされた上で、これに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人の意思決定を基本として行われることが重要とした上で、ACPについて、患者の相談に適切に対応できる人材の育成等による体制整備を行うとともに、国民向けの情報提供・普及啓発を推進するとした。
 「身寄りのない高齢者への支援」では、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの設置に向けた伴走支援等の実施や、重層的支援体制整備事業等の活用により、地域の多様な団体が連携して支援する環境整備に取組み、日常生活での緩やかなつながりづくりや居場所づくりを推進するとした。

 

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