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医療費の仕組み

1. 国民皆保険制度とは?

 国民皆保険制度とは、すべての国民が何らかの公的な医療保険に加入しているということです。

 公的な医療保険は大きく二つに分けられます。一つは会社員が加入する健康保険、公務員の共済保険、船員の船員保険のように、組織に雇用されている人を対象とする「被用者保険」であり、もう一つは、自営業者や被用者保険の退職者などを対象とした「国民健康保険」です。

 日本で公的医療保険制度が初めて制定されたのは1922年のことで、途中第二次世界大戦によって加入率が一時減少しましたが、その後1961年に国民皆保険制度を実現しました。

 諸外国をみると、米国を除いて、ほとんどの先進国は何らかの国民皆保険制度を有しています。

2. 日本の医療費

 医療費は年々増えています。2009年度の国民医療費(保険診療内の治療費の合計)は36兆円でした。前年度は34.8兆円でしたので、1年間で約1.2兆円(3.4%)増加しています。

 また、GDPに対する医療費の割合を諸外国と比較すると、米国は17.4%、フランス11.8%、ドイツ11.6%、カナダ11.4%、英国9.8%、イタリア9.5%に対して、日本は8.5%(いずれも2009年データ)と、最も低くなっています。どの程度の医療費が適切かは一概には言えませんが、高齢化がほとんど進んでいないにもかかわらず医療費の割合が高い米国、高齢化が進んでいるのに医療費の割合は比較的低い日本、イタリアなど、国によって事情は異なります。

3. 医療機関を受診した場合の医療費

 被保険者(保険に加入している人)は、毎月保険料を支払います。保険料は、被用者保険の場合は被保険者本人と会社が折半し、国民健康保険の場合は全額本人が支払います。

 保険料の額は被用者保険の場合は「標準報酬月額」と「標準賞与額」によって、国民保険では「前年度の収入」によって異なり、保険料率はそれぞれの保険を運営する組織によって変わります。被用者保険の保険料率は、以前は全国一律でしたが、2009年9月から都道府県にごとに定められるようになりました。

 医療保険はこの保険料と、国や地方自治体の「公費」、そして患者自身が医療機関を受診したときに支払う「自己負担」によって成り立っています。

 病気やケガで医療機関を受診した場合、患者さんは実際にかかった医療費の3割(小学校就学前は2割、70歳以上は収入により1割、または3割)を自分で支払います。残りの医療費は医療保険によってまかなわれます。

4. 高額療養費制度

 医療機関や薬局で一か月に支払った金額の合計が一定額を超えた場合に、超えた分を支給するというのが、「高額療養費制度」です。毎月の上限額は、年齢や所得によって異なります。

 たとえば、70歳以上の一般の方(「月収53万円以上」「住民税非課税の方」以外)の場合、1か月の支払い額が80,100円を超える場合、高額療養費の支給対象となります。

5. 医療費はどうやって決まる?

 医療費を決定する方法には、「出来高払い」と「定額払い」の大きく2通りがあります。

 出来高払いとは、診察や手術、注射、検査など、個々の医療サービスごとに定められた費用の合計で決まる方法です。スーパーマーケットなどで買い物をするときと同じ計算方法です。一方、定額払いとは、病気の種類や状態などによって一定の支払い額を決定する方法です。患者さん毎に検査の数や薬の使い方が異なっても、同じ支払いを受けることになります。慢性期の患者さんを中心とする療養病棟では、医療の必要度に応じた「医療区分」と、日常生活動作レベルに応じた「ADL区分」によって医療費が決まる定額払いが用いられています。また、急性期の入院医療では、これまでは出来高払いが中心でしたが、病気の種類によって1日当たりの医療費を決める「DPC/PDPS」制度を導入する病院が増えています。

6. 混合診療について

 日本では、保険診療と自費診療の併用は「混合診療」として認められていません。そのため、保険診療を受けながら、保険対象外の治療法を1つでも自費診療で加えると、全額自己負担となります。

 がん治療などにおいては、次々と新しい治療薬が開発されているものの、保険適用になるまでには時間がかかることが多く、最新の治療を受けることができないといった問題も生じています。

7. 特定療養費とは?

 混合診療が認められていないなか、公的医療保険と自己負担の併用を認められているのが、「特定療養費」と呼ばれるものです。

 特定療養費には、「評価療養」と「選定療養」の2種類があります。評価療養とは、保険給付の対象とすべきか評価を行うことが必要なもの。一方、選定療養とは、特別な病室の利用や予約診療など、患者さんが選べる付加的なサービスのことです。具体的には、表のようなものが含まれます。

評価療養 選定療養
先進医療 特別な病室(差額ベッド)
医薬品、医療機器の治験 歯科の金合金など
薬事法承認後、保険収載前の医薬品の使用 予約診療
適応外の医薬品の使用 時間外の診療
  など  大病院の紹介状なしの初診  など 

8. 主な病気と医療費

 ここまで医療費の仕組みについて解説してきました。では、病気やケガで入院したとき、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

全日本病院協会では「診療アウトカム評価事業」を行っています。診療内容、治療結果に関するデータを各病院から集め、結果を各病院にフィードバックして、医療サービスの向上に活かすとともに、統計的データを全日病のホームページで公開しています。

 この診療アウトカム評価事業で収集したデータを基に、主な病気にかかる医療費を表にまとめました。これは、医療費の総額ですので、患者さんが支払う費用は、このうちの3割または1割(前述の通り、年齢等で異なります)と、特定療養費にあたる食事代、差額ベッド代などです。ご参考ください。

主な病気にかかる医療費はこちら。

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