全日病ニュース

全日病ニュース

日赤、国立病院機構、大学法人も可能。自治体病院の参加は調整中

【新型法人の枠組固まる】

日赤、国立病院機構、大学法人も可能。自治体病院の参加は調整中

「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて」(概要)
2月9日「医療法人の事業展開等に関する検討会」

 「日本再興戦略改訂2014」や「規制改革実施計画」等を踏まえ、本検討会で検討したところ、以下の整理を基本とすることが概ね妥当と考えられる。その際、特に、非営利新型法人については地域医療構想との整合性を図るとともに、非営利性が適切に確保されるものとすることを強く求める。
 また、医療法人の分割制度はより良い地域医療の実現のために適切に運用されること、社会医療法人の認定要件の見直しはあくまで例外的な措置であり、基本的には引き続き厳格な認定基準を維持すべきであることを申し添える。
Ⅰ. 地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設について
1. 非営利新型法人の法人格・名称
・都道府県知事は、一般社団法人のうち一定基準に適合するものを新型法人として認定する。医療法人等を社員とする社団型を基本とし、財団型は実施状況等を見ながら検討する。
・名称は地域医療連携推進法人(仮称)が考えられるが、さらに検討し、適切な名称とする。
2. 新型法人の事業地域範囲地域医療構想区域を基本とする範囲を新型法人が定め、都道府県知事が認可する。
3. 新型法人の参加法人の範囲・事業地域範囲内に病院、診療所又は老健施設を開設する複数の医療法人その他の非営利法人を参加法人とすることを必須とする。事業地域範囲内で介護事業その他地域包括ケアの推進に資する事業のみを行なう非営利法人も参加法人とすることができる。
・営利法人、営利法人を主たる構成員とする非営利法人を、参加法人、社員とすることは認めない。
・事業地域範囲を越えて病院等を開設している法人も、当該法人を参加法人とした上で、統一的な連携推進方針(仮称)等の対象を当該地域の病院等に限る。
4. 非営利新型法人の業務内容
(1)統一的な連携推進方針(仮称)の決定
・新型法人は、参加法人における統一的な連携推進方針の決定を主な業務とする。
・統一的な連携推進方針の内容として、医療機関相互間の機能分化及び業務連携に関する事項は必須とする。介護事業他地域包括ケアの推進に資する事業を記載することも可能だが、どのような事項を記載するかは各新型法人が決定する。
・統一的な連携推進方針は地域医療構想と整合性を確保する。
・参加法人の病院等の医療機能の分化・連携を推進する上で病床の再編が有効となる場合は、基準病床数制度の下でも、当該病院等間の病床の融通を認める。
(2)その他の業務
・参加法人に対する貸付、債務保証及び出資を一定の範囲に限って認めるが、租税回避の手段等となるような贈与は認めない。
・新型法人の設立趣旨達成に必要な範囲内にある関連事業を行なう株式会社に対して、株式保有割合を例えば100%にする等一定割合以上とすることを条件に出資できる。関連事業を行なう一般社団法人等に対しては基金に出資することを認める。
・新型法人による病院等の経営は知事が認可した場合に限り認める。
5. 非営利新型法人のガバナンスの仕組み
・原則として社員は各一個の議決権を有するが、不当に差別的な取扱い、財産の価額に応じて異なる取扱いをしないことを要件に、定款で別段の定めをすることができる。
・新型法人の該当事業に係る参加法人への関与として、一定の関与(意見聴取・指導を行なう)と強い関与(協議・承認を行なう)のどちらかにするかを、事項ごとに選択できる。
・一般の医療法人社団について法人も社員になれることを明確化する。この場合も営利法人は社員になれない。
・新型法人の理事長は、すべて都道府県知事の認可を経る。
・新型法人は地域関係者を理事に任命するとともに、地域関係者で構成する地域医療連携推進協議会(仮称)を開催、新型法人は同協議会の意見を尊重する。
・地域医療連携推進協議会は、地域医療に関して設定した目標・貢献度等を基に、新型法人の設立目的が達成されているかを評価、その内容を公表する。
6. 非営利新型法人の非営利性の確保等
・新型法人における剰余金の配当は禁止する。
・新型法人の役員に親族等の就任制限要件を設けるとともに、利害関係のある営利法人の役職員就任を禁じる。このほか、定款変更における知事の認可等医療法の規定を準用する。
・都道府県知事の認可等が必要な案件は医療計画等との整合性を確保するとともに、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。また、認定基準を欠くに至った場合等に知事は勧告・措置命令・認定取消をすることができる。
7. 非営利新型法人の透明性の確保
・新型法人に、外部監査の実施やHPにおける財務諸表の公告、MS法人を含む関係当事者との関係の報告、事業報告書等を閲覧に供することを義務づける。
Ⅱ. 医療法人制度の見直しについて
1.医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化
・一定規模以上の医療法人に会計基準の適用と外部監査を義務づける。具体的な会計基準は四病院団体協議会が作成した医療法人会計基準を基本に検討する。
・一定規模以上の医療法人に、計算書類の公告(官報公告又はインターネット上での公開)を義務づける。
・医療法人に、毎年度、MS法人を含む関係当事者との関係を都道府県知事に報告させる。
・医療法人の理事会の設置・権限や役員の選任方法等を規定して明確化する。
・理事長・理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任等を規定して明確化する。
2. 医療法人の分割について
 分割計画書等を分割前の医療法人が作成した上で、都道府県知事の認可があれば医療法人を分割できることとする。分割制度の対象は持分なし医療法人とするが、社会医療法人及び特定医療法人は対象外とする。
3. 社会医療法人の認定要件の見直し等について
社会医療法人について、認定を取り消された場合にも救急医療等確保事業を継続させることができるよう、特別な計画を策定し、認可を受ければ収益事業を実施でき、救急医療等確保事業のための施設の改築・設備整備を実施できるとする経過措置を設ける。