全日病ニュース

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厚労省 10月施行の看護師届出制度で留意点を通知

厚労省 10月施行の看護師届出制度で留意点を通知

離職看護師同意の下、病院は届出の代行が可能― 病院の役割が大きい看護師届出制度

 昨年成立した地域医療介護総合確保推進法で看護師等人材確保促進法が一部改正され、離職した看護師等の届出制度がこの10月1日に施行される。これに伴い、同法施行規則(省令)が一部改正され、同じく10月1日に施行される。
 厚生労働省は5月21日付で医政局看護課長名の通知(医政看発0521第2号「看護師等の人材確保に関する事項の施行について」)を各都道府県に発出、改正省令にかかわる留意事項等を示し、医療機関等への周知を要請した。
 看護師等人材確保促進法改正の目的は、看護師等(保健師、助産師、看護師、准看護師)の確保を図るために、無料の職業紹介事業を行なう都道府県ナースセンターは、離職した看護師等を把握するとともにその復職を支援していく体制を強化する、という点にある。
 法と省令の改正は、(1)看護師等に就業促進に役立つ情報の提供・相談他の援助を行なうことを都道府県センターの業務に追加する、(2)同センターは、公共職業安定所に加えて、地方公共団体他の関係機関との密接な連携の下に業務を行なわなければならない(都道府県その他の官公署に必要な情報の提供を求めることができる)、(3)看護師等は、病院等を離職した場合等に、住所、氏名等を同センターに届け出るよう努めなければならない、(4)同センターはその業務の一部を委託することができる、などからなる。
 看護課長通知は、(2)における関係機関の1つに、各医療機関への導入が努力義務化された「勤務環境改善マネジメントシステム」を支援するために各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターをあげ、情報連携を求めた。
 また、(3)については、「改正法の施行の際に現に業務に従事していない看護師等」も努力義務の対象であるとの解釈を示した。
 さらに、改正省令において、「看護師等の免許を受けた後、保助看法の業に直ちに従事する見込みがない場合」も対象となること、また、「保助看法の業に従事しない」場合には、看護師等の免許を受けた後に進学する場合や社会福祉施設など「病院等」以外で保助看法の業に従事していた者が離職する場合が含まれること、「病院等」には診療所、助産所、介護老人保健施設、指定訪問看護の事業所が含まれること、などを明らかにした。
 その上で、これらの規定に該当する以外の者もセンターに届け出ることができるとした。
 届出は書面だけでなく、都道府県ナースセンターの全国機関である中央ナースセンターのホームページからもできるとしている。
 改正法には「病院等の開設者等による届出の支援」(努力義務)が規定されている。その支援の例として、通知は「離職する場合に、都道府県センターに届出を行うことが法律で定められている旨を情報提供し、届出を促すことや、当該看護師等の同意の下、当該看護師等に代わって都道府県センターに届け出ることなどが考えられる」と記している。
 したがって、病院を離職する看護師等の同意を得れば、当該病院が代理で届け出ることができるわけで、この制度における各病院の役割は大きい。
 「病院等の開設者等」には、保助看法に規定する看護関連資格の学校、養成所、大学が含まれ、免許を取得したものの卒業後に保助看法の業に従事しないことが明らかとなっている学生・生徒または在学中の学生・生徒に、届出制度に関する情報を提供もしくは教育を行なうことが「支援」となる。
 通知は、さらに、(4)における「業務の一部を委託することができる」先として、「地域において医療に関する公益的な事業を実施する非営利法人等、当該業務を適切に実施する能力を有する法人や、自治体等の官公署等が考えられる」と説明している。
 したがって病院団体も委託先になることが可能だ。ただし、無料の職業紹介事業は委託の対象とならない。

病院団体含め、ナースセンターの運営を中央と都道府県で協議

 通知は「地域の関係機関との連携体制の構築」という項目で、都道府県センターによる看護師等確保対策(届出の支援や業務の委託を含む)は、「医師会や病院団体等の地域の医療関係団体、都道府県労働局等の関係行政機関、その他地域の実情に応じて必要と判断する関係者を構成員とした既存の都道府県ナースセンター運営協議会等において十分に協議して進める必要がある」と指摘。
 「日本看護協会、日本医師会及び病院団体等を構成員とした『ナースセンターの運営に関する中央における定期的な協議の場』が設けられた」ことを明らかにした。
 看護師等確保対策の一環として、現在、中央ナースセンターは厚生労働省が日看協に、都道府県ナースセンターは各都道府県が都道府県看護協会に、それぞれ運営を委託している。
 この運営の効率化と質の向上を図るために、日医、全日病を含む四病協の4団体、全国自治体病院協議会を加えた「定期的な協議の場」が中央と各都道府県に設置される予定で、すでに、「中央における定期的な協議の場」は4月22日に第1回の会合を開いている。
 「協議の場」は、今後、各都道府県でも順次設置される予定だ。
 西澤寛俊会長は、第1回理事会・第2回常任理事会(5月23日)で、「潜在看護師の掘り起しは我々医療機関にとって大変重要なテーマだ。ナースセンターの運営は病院団体も加えたものとすべきとの主張が通って、この会合が実現した。各支部は、この会合が、今後、各都道府県でも開催されるということを認識してほしい」と発言、各支部に積極的な対応を求めた。