全日病ニュース

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熊本に震度7の地震 強い余震で11万人が避難

●熊本市東区役所におけるJMAT、DMAT、AMAT合同の打合せ

熊本に震度7の地震 強い余震で11万人が避難

医療機関も被災 全日病AMATが出動し支援活動を展開

 4月14日21時26分、熊本県熊本地方で震度7、マグニチュード6.5の地震が発生した。この地震により益城町、嘉島町、熊本市を中心に停電、ガスの供給停止、断水が生じた。続いて16日深夜1時25分、熊本地方で震度7、マグニチュード7.3の地震が発生し、その後も震度5レベルの余震が続いた。
 これらの地震により建物の倒壊、路面亀裂・陥没が相次いだ。断水は熊本・大分・宮崎の3県で43万戸に拡大。停電・ガス停止が続き、17日時点で約11万人が避難所や車内に避難した。地震による死者は48人、負傷者は1159人(21日現在)。
 地震の影響で九州各地の高速道路が通行止めとなったほか、鉄道は熊本県を中心に、広い範囲で運転できない状態が続き、緊急物資の輸送が停滞した。
 熊本県内の医療機関も被災し、断水と交通遮断の影響で水と食料が不足した。全日病の電話調査(16日)によると、希望ヶ丘病院(上益城郡御船町)は倒壊の恐れがあるため、患者を高校の校舎に移送した。川野病院(熊本市中央区)では水道管が破裂して病棟が浸水した。県内会員75病院のうち、28病院が被害を受け、そのうち11病院は建物にも被害が生じている。

●4月16日に開かれた災害対策本部の会合

●ただちに災害対策本部を設置

 熊本県における地震の発生を受けて、全日本病院協会は4月15日に西澤寛俊会長を本部長、加納繁照常任理事(救急・防災委員会委員長)を統括副本部長とする災害対策本部を設置した。
  災害対策本部は直ちに全役員および九州地区支部長との連絡体制を構築するとともに、厚生労働省や日本医師会(JMAT)と情報の共有を図った。また、会員病院をはじめとする被災地医療機関の被害状況把握に努めるとともに、AMAT(全日本病院協会災害時医療支援活動班、All Japan HospitalAssociation Medical Assistance Team)の派遣調整や支援物資の確保と搬送など、必要な活動を開始した。
 災害対策本部は16 〜17日にかけての週末も事務局員が常駐し、関係方面との連絡と情報収集に努めるなど、災害対策本部としての活動を維持し、AMATの派遣を決定した。まず、先遣部隊として、織田病院(佐賀県)とヨコクラ病院(福岡県)が15日に現地入りし、被害規模や現地医療機関の被災状況の把握に努めた。
 16日には、現地からの緊急要請を受けて、市比野記念病院(鹿児島県)、サザンリージョン病院(鹿児島県)、国分中央病院(鹿児島県)が緊急支援物資の搬送に当たった。また、白鬚橋病院(東京都)と永生病院・南多摩病院(いずれも東京都)が現地に到着、さらに17日には永生病院の第2陣が現地に入った。
 今回の地震は、強い揺れを伴う余震が続き、被害が拡大したのが特徴で、AMATは、余震が続くなかで刻々と変わる被災状況に対応して支援活動を展開。熊本市内の東病院などを中心に、市内北区・東区の避難所の診療支援と地域巡回を実施した。
18日には、断水等に苦しむ本庄内科病院(熊本市)の要請に対し、当協会および日本医療法人協会の現地支援物資集積場所である青磁野リハビリテーション病院(熊本市)からの支援物資を搬送し、支援した。
 交通網が途絶えるなかで被災地以外からの支援物資を被災地に届けるため、災害対策本部は19日にトラックを使ってヨコクラ病院に集積していた非常食等の搬送を決定。さらに、福岡県トラック協会の協力を得て、福岡県医師会との連携のもと青磁野リハビリテーション病院に届けるルートの確保に努めた。
 災害対策本部は、被災状況等を勘案して19日、当面は九州地区の会員病院を主体にAMATを編成・派遣する方針を決定した。