全日病ニュース

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第4回定時総会を開催 一致協力して制度改革に向かう

第4回定時総会を開催 一致協力して制度改革に向かう

熊本学会への積極的参加を呼びかける

 全日病は6月18日に第4回定時総会を開催し、2015年度事業報告書を説明するとともに、2015年度決算を承認した(事業報告は4月16日の常任理事会で承認されている)。
  冒頭に挨拶した西澤寬俊会長は、熊本地震に際し多くの支援が寄せられたことに謝意を表明した上で、医療提供体制を取り巻く状況を説明。2018年度の医療・介護同時改定や医療計画に関連する様々な制度改正の議論が始まっていることを踏まえ、「全体をきちんと見渡し、一致協力して、制度改革に向かっていく」との姿勢を強調した。

消費税率引き上げの延期は「残念」
  西澤会長はまず熊本地震の発生後、AMAT(全日本病院協会災害時医療支援活動班)やJMAT(日本医師会災害医療チーム)を通じて、多くの全日病会員病院が被災地の支援に取り組んだことに謝意を表明した。支援活動を通じて、「たくさんの支援物資を被災した医療機関にお送りいただいた。
 さらに義援金についてもご協力いただいている」と述べた。
 安倍晋三首相が、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半延期したことについては、「非常に残念。社会保障の充実に充てる財源をどう捻出していくのか非常に心配だ」と懸念を表明した。2018年度の医療・介護同時改定の財源をどう確保するかが課題になると指摘。「経済も大事だが、社会保障が経済の基盤になる。
 社会保障の充実なくして経済成長なしとの声を上げていきたい」と述べた。
 医療提供体制を取り巻く現状については、2018年度からの新たな医療計画の開始に伴い、様々な改革の議論が進んでいることを報告した。医療計画見直しに関する検討のほか、医療従事者の需給に関する検討や医師の偏在解消策、療養病床のあり方、新専門医制度への対応など、地域医療に大きな影響を与える議論が目白押しであるとした。
 西澤会長は、これらの改革に積極的に取り組む姿勢を示すとともに、「報酬や制度がしっかりしたものにならなければ、地域医療は崩壊する。世界に誇る日本の医療制度を崩壊させてはならない」と強調した。その際に、本部と支部の連携が重要になると指摘。地域の意見を反映させるため、支部活動の活性化を求めた。
 「全日本病院学会in熊本」が予定どおり開催されることを山田一隆・熊本県支部長が報告した。山田支部長は、「医療・介護が復興しなければ、地域は復興しないと考え、開催を決断した」と述べるとともに、学会テーマに「災害時における医療提供のあり方」を加えたことを報告した。西澤会長は、熊本復興を後押しする意味も含め、多数の参加者が学会に参加するよう、事前参加登録を呼びかけた。
 病院職員の生活守る財源が必要
  来賓には、武見敬三・参議院議員、横倉義武・日本医師会会長、尾﨑治夫・東京都医師会会長が招かれた。
 武見議員は、経済情勢を勘案して消費税引き上げが延期されたことを報告する一方、「安倍首相は約束した社会保障政策は確実に実行すると言っている。そのための財源はアベノミクスの成果による税収増になる」と述べた。
 ただし税収増は安定財源とは言えないことから、補正予算の枠組みを活用することが検討されていると報告した。
 横倉会長は、2016年度診療報酬改定の財源確保をめぐって、「アベノミクスで賃上げを要請しているときに、300万人を雇用している医療界だけ置いていくのか」と訴えたことを報告した。
 それを踏まえ、2018年度の改定でも、病院で働く従業員の生活を守るために財源が必要であることをデータを用いて、政府に主張する必要があるとした。
 尾﨑会長は、東京都の地域医療構想について説明。策定の過程で、地域の中小病院をはじめとする医療提供者側の意見は概ね取り入れられ、まとまる段階であるとした。「東京は都心に大病院が集まる。2次医療圏で分断するのではなく、病床整備の区域と5疾病・5事業の区域は分けて考えた」と述べた。
 2015年度事業で医療事故調に対応
  猪口雄二副会長が事業報告書の概要を説明した。昨年10月に施行された「特定行為に係る看護師の研修制度」では、看護師特定行為研修指導者講習会を開催し、eラーニングコンテンツを開発した。同じく昨年10月に施行された医療事故調査制度では、医療事故調査等支援担当委員会を立ち上げ、支援団体業務の規定を策定。窓口を設置し、研修会を開催した。
 厚生労働省補助事業としては、「看護師の特定行為に係る指導者育成事業」や「身体拘束ゼロの実践に伴う課題に関する調査研究事業」を受託している。
 中村康彦常任理事が決算報告書案の内容を説明し、定款に定められた定時総会承認書類である貸借対照表、正味財産増減計算書及び財産目録が承認された。

 

全日病ニュース2016年7月1日号 HTML版

 

 

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