全日病ニュース

薬価の「期中改定」に慎重な対応求める

【四病協】
最適使用推進ガイドラインによる薬剤費抑制を期待

　四病院団体協議会の総合部会が８月24日に開かれ、抗がん剤のオプジーボの薬価引下げを念頭に厚生労働省が2017年度の薬価改定を提案していることについて協議したが、「期中改定」が常態化することへの懸念が相次ぎ、慎重な対応を求めることで一致した。堺常雄議長（日本病院会会長）は、高額薬剤の最適使用推進ガイドラインによって、薬剤費を抑えることに期待を示した。
　同日の中医協で厚労省がオプジーボの薬価について、2018年度診療報酬改定を待たずに引き下げることを提案した。高額薬剤に対して、緊急に特例的な対応を行う位置づけだ。しかし、診療側の委員が「期中改定ありきではない」と慎重な対応を求めたことから、11月頃までの引き続きの検討となっている。
　四病協の総合部会でも、「期中改定」には慎重に対応すべきとの意見が相次いだ。堺会長は会見で、「緊急避難的な薬価引下げは一見よくみえるが、気がついてみたら薬価財源が消えてしまった、ということになる」と述べた。
　昨今の診療報酬改定では、薬価改定による財源を診療報酬本体に充てる考え方が不明確になっている。「期中改定」となれば、政府の社会保障費抑制のために薬価引下げの財源が使われ、診療報酬本体に戻る可能性は低くなる。さらに「期中改定」が常態化するリスクもある。総合部会は、これらの懸念を共有した。
　その上で堺会長は、四病協としては、類似薬効比較方式と原価計算方式の仕組みの大幅見直しを含めて2018年度の薬価制度の抜本改革で問題解決を図るべきとの考えであると説明した。
　薬事承認から保険適用に至る手続きにおいて「経済性の観点も含めた保険適用のあり方」を検討することや、保険局と医薬・生活衛生局との連携の必要性を指摘した。あわせて、最適使用推進ガイドラインの効果に期待を示した。
専門医機構から２件の依頼
　新専門医制度について、日本専門医機構から依頼が２件あったことを報告した。１つは「運営資金の借入」、もう１つは「事務局員の支援」である。
　運営資金の借入については、新専門医制度の１年延期により、予定した収入が入ってこなくなったため、機構として社員に対し借入を求めた。総額で１億円程度が必要としている。現状では四病協を代表して１人の社員を出しているが、近く各団体それぞれが社員になる見込みであるため、各団体に判断を委ねることになった。
　事務局員の支援については、９月から年末までの一時的な事務量増大に対応するためとしている。しかし総合部会では、現状の事務局体制では不十分との指摘が相次ぎ、一時的ではなく、恒常的に事務局体制を整えるよう求めていくこととした。