全日病ニュース

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2018年度診療報酬改定に向けた議論を開始

2018年度診療報酬改定に向けた議論を開始

【中医協総会】
2025年見据え、節目の同時改定

 中医協(田辺国昭会長)が2018年度診療報酬改定に向けた議論を開始した。
 厚生労働省は昨年の12月14日と21日の中医協に、次期改定の「現状と課題」(資料参照)および今後のスケジュールを提示。1年間を第1~3ラウンドに分けて、在宅、入院、外来、歯科、調剤の議論を行う方針を示した。次期改定は薬価制度の抜本改革や費用対効果評価の本格的導入などもあり、例年以上の過密スケジュールとなりそうだ。年明けの1月11日の総会では、在宅医療の総論的な議論を行った。
 2018年度は、診療報酬・介護報酬の同時改定。団塊世代がすべて75歳以上となる2025年を見据えると、2024年度の同時改定は直前になるため、2018年度が最重要の同時改定となる。さらに、2017年度は医療介護総合確保方針や医療計画、介護保険事業計画の見直しのほか、国民健康保険の都道府県単位化など、様々な制度改正が重なり、医療・介護の提供体制にとって、大きな節目となる。
 一方で、社会保障をめぐる財政状況は厳しい。厚労省は、一般歳出の約55%を社会保障関係費が占めていることや、歳出が歳入を上回り、国債残高が累増している財政の現状を説明した。
 さらに、少子化による人口減少で、医療・介護の「支え手」が減少していることを指摘。また、医療費の増加要因として高齢化だけでなく、「医療の高度化等」が影響しているとし、「バイオテクノロジー、ICT、AI(人工知能)といった革新的技術により、医療そのもののあり方が変わりつつある」と指摘したことも一つの特徴だ。
 同時改定であることから、医療・介護の連携が、特に重要だと考えられる事項が示された。具体的には、①療養病床・施設系サービス②居宅等における医療(訪問診療・訪問看護、歯科訪問診療、薬剤師の業務等)③維持期のリハビリテーションがあがった。①については、介護療養病床の見直しに伴う、外付け医療サービスの給付調整のあり方が検討課題となる。
 全日病副会長の猪口雄二委員は、「医療療養病床25対1を早い段階で整理してほしい」と要望した。また、「医療区分・ADL 区分の見直しは行うのか」と質問。厚労省は「見直しありきではないが、様々な指摘を踏まえ、検討する」と回答した。
 また、2012年度の同時改定と同様に、中医協総会と介護給付費分科会の委員の意見交換会を設けることを、12月21日の総会で了承した。意見交換会は中医協での議論が本格化する前に行う。
 今後のスケジュールをみると、1月から6月半ばを第1ラウンド、6月半ばから10月を第2ラウンド、10月から12月半ばまでを第3ラウンドとして、在宅医療、入院医療、外来医療、歯科医療、調剤報酬の区分けで、議論を行っていく。入院医療調査結果の速報は6月、紹介状なしの大病院受診等は9月、急性期入院医療や地域包括ケア、退院支援は10月に議論する。
幕開けは在宅医療を総論的に議論
 幕開けとなる1月11日の中医協総会は、在宅医療の総論的な議論を行った。
 厚労省が在宅医療を取り巻く現状を説明。その上で、「多様化する患者のニーズに応えることができるよう新たなサービスの提供のあり方や、地域の状況、個々の患者の状態、医療内容、住まい、住まい方等を踏まえた評価」を論点とした。質と量の確保とあわせ、効率性の観点も重要と指摘した。
 厚労省は、◇最期を迎えたい場所として、「自宅」の回答が54.6%で最も高い◇長期にわたり療養を要する児童の数が増加傾向にある◇在宅療養支援診療所・病院の届出は増加から横ばいである◇在支診ではないが在宅医療を提供する診療所が相当数ある◇ターミナルケア加算は一部の算定回数が多い医療機関が全体に占める割合が高い─などを説明した。
 診療側からは、在宅医療専門の診療所が患者を囲い込むことに対する懸念が出た。支払側は、訪問診療対象患者のうち46%が、「健康相談」「血圧・脈拍測定」「服薬援助・管理」にのみ該当していることに注目した。 >

 

全日病ニュース2017年2月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年1月1日・15日合併号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160101.pdf

    2018 年診療・介護報酬同時改定が待ち構えています。国が. 増大する社会保障費を
    抑制の方向へと誘導するなか、私たちには医療の質. 向上と効率的な医療提供が求め
    られます。 昨年 10月末に拝命した中医協委員として、その使命を全うする所存です。

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年4月15日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160415.pdf

    2016年4月15日 ... 冒頭に挨拶した西澤寛俊会長は、最. 近の医療情勢を概観。「最大の関心は. 2016年度
    診療報酬改定後である。改定 ... 2018年度は、診療報酬・介護報酬の同. 時改定 ... の
    同時改定の年度でもある。 ..... 厚労省は3月30日、中医協の診療報.

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