巻末 2025年に向けた今後の病院経営-各施設が取るべき対応 ―医療基本法案(全日病版)提案の経緯―:「病院のあり方に関する報告書」(2015-2016年版)

主張・要望・調査報告

「病院のあり方に関する報告書」

おわりに

 全日病は、理想的な医療提供体制の構築を目指しては10 年前からほぼ隔年で「病院のあり方に関する報告書」を発刊してきた。
 これまで報告書では、近未来の提供体制のあり方、医療機関自らが確保すべき質の担保に関して提言してきており、医療関係者の間では一定程度の評価を得てきたと考えている。今回の報告書は実に4年ぶりの発刊である。これは、種々のNDB の利用が始まったものの、分析方法とその結果をいかに政策に反映させるかについて方法が未だ確立していないこと、少子高齢化へはもはや医療機関のみの対応では不十分であり、地域全体についても検討する必要があるなど、問題が複雑化したことにより、検討に時間を要したためである。
 本報告書の内容は、2025 年にむけた国の議論も踏まえ、会員病院向けの現実的対応を中心に構成した。社会保障費増大に一定程度のキャップをはめようとする国の動きは必然であるが故に、我々医療提供者側にもより大胆な改革が求められよう。
 次回には、今一度諸外国の医療制度の検証も行い、人口減少超高齢社会に適合する提供体制のあり方を考えてみたい。

病院のあり方委員会
委員長  徳田 禎久