(全日本病院協会認定総合医認定)
公益社団法人 全日本病院協会
会長 猪口 雄二
日頃より当協会の活動にご協力ご支援をいただき、誠に有難うございます。
さて、全日本病院協会は、国民に安全で質の高い医療を医療人が誇りと達成感を持って提供できるような環境整備を行う事を目的に活動をしております。一方で、社会構造の変化と医療の持続可能性への不透明感等、病院を取り巻く環境は激変しており、地域に密着した診療活動の中での実体験として、こうした環境の変化への強い危機感を抱いております。
2017年に医師偏在に伴う地域医療への影響の懸念から開始が遅れていた新専門医制度がスタートし、同年7月に「総合診療専門医」が新たな専門領域として承認されました。多領域に跨って診療を行う総合診療専門医の育成は、認知症や多疾病を抱えて生きる高齢患者が増加している医療機関にとって必要不可欠なものと考えます。しかし、同専門医が広く地域の医療機関に根差して活躍するまでには、まだまだ時間を要するところです。
こうした状況下において、すでに多くの医療機関で、専門性を有した医師がその専門領域以外の場面で活躍する機会が増加していることと存じます。そこで、当協会ではそうした医師の更なるキャリアアップの一助とすると同時に、総合診療専⾨医のもつコンピテンシーを理解・共有し、職場において専⾨医と協働できる環境の醸成を主な目的とし、本プログラムを作成いたしました。
本プログラムは、診療の場面で一歩踏み出す能力を身につけることを目標とした「診療実践コース」に加え、他診療科や多職種との連携に必要なリーダーシップやチームビルディング、人材育成について学ぶ「ノンテクニカルスキルコース」、日本の医療制度、医療をめぐる現状や未来について全体像を俯瞰する能力を身に着けるための「医療運営コース」の3分野から成るスクーリングを主とし、総合診療e-learningによってより広範な知識を身に着けていただくとともに、学習の中で得た知識をご自身の医療機関で実践いただくまでを全体の構成としています。
本研修では事前にスクーリングのテーマについての学習を深めていただいたうえで、参加者によるグループワークにより実践的な知識を深めていただきます。また、スクーリングについては特に自身にとって必要な分野についての学習を深めていただくため単位制の形をとり、所定の単位を取得された後、自院での診療実践状況等についてまとめたレポートをご提出いただき、全日本病院協会総合医審査委員会が認定した医師を「全日本病院協会認定総合医」として認定いたします。
各病院におかれましては、すでに総合医の育成・強化のために種々ご配慮をなされてきておられると思いますが、現下の厳しい病院経営環境の中、健全な病院経営・管理の維持・向上のために、皆様からの積極的なご参加をお待ち申し上げます。