全日病ニュース

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第1回病院医療ソーシャルワーカー研修会の報告:地域との接点かつ院内連携の要となる病院MSW

第1回病院医療ソーシャルワーカー研修会の報告
地域との接点かつ院内連携の要となる病院MSW

初の研修に定員超える申し込み。彼らに系統的教育を提供するのは病院協会の役割

常任理事(プライマリ・ケア検討委員会委員長) 丸山 泉 

 

 第1回病院医療ソーシャルワーカー(以下病院MSW)は、プライマリ・ケア検討委員会の企画で、2月5日、6日の2日間、本協会本部で開催された。定員150名のところに200名近い応募があったため、少なからぬ申込者には、次の機会への参加をお願いすることとなった。
 西澤寛俊会長に挨拶をお願いし、全日病がプライマリ・ケア宣言(2013年8月7日)をなぜ行ったか、病院医療ソーシャルワーカーの研修とどのような関係性があるかについて話をしていただいた。
 引き続き、共催していただいた日本医療社会福祉協会(医福協)の佐原まち子会長から、参加者に、開催目的やスケジュールについての説明が行われた。
 その後、厚生労働省医政局指導課の佐々木昌弘医師確保等地域医療対策室長から、「医療を取り巻く情勢の現状と将来」と題した講演をいただいた。
 そして、当日急用で出席できなった藤井久丈プライマリ・ケア検討委員会委員の代理として、私が「組織が求める医療ソーシャルワーカーの機能と役割」について話をし、この二つを基調とし、これを展開させる形でグループワークに入った。
 医福協から参加していただいたスタッフは、参加者の心をつかみながらのさすがに手慣れた進行をみせ、「現状分析、業務評価シート記入の実習」が円滑に行われた。
 2日目は、法政大学の佐野哲先生と本協会の神野正博副会長が「医療ソーシャルワーカーに求められるマーケティングの視点」についてお話された後、日本福祉大学田中千枝子先生による「連携技術・方法論」の講義が行われ、そして「SWOT分析演習」に入った。最後は、医福協の伊藤正一理事によって「専門性と組織論で葛藤する事例」の検討会が行われ、猪口雄二副会長のまとめで、2日にわたる研修が終わった。
 今回の病院MSW研修会はきわめて有意義で効果的なものとなった。
 プライマリ・ケアの強化というコンテクストで病院医療を語る場合、病院MSWは地域との接点となり、かつ院内多職種連携の要ともなる。しかしながら、病院やその関連施設を場としているMSWには日常的に課せられた業務が多く、そのことへの系統的学びの場が不足していることも事実である。
 これを提供することは病院協会の役目でもある。仕事の場が世間的問題を多く持つところである以上、その学びは現実に即したものでなくてはならない。
 しかし、病院MSWが本来持っている他者への優しさなどを、私どもの施設の多忙という理由で、また、不十分な病院MSWへの認識や過剰な期待で摘み取ってはならない。彼らが本来持つその特性を組織の中で十分に発揮できること、同時に私たちが常に持ち続けている経営の厳しさとの共有感とのバランスある育成が必要である。
 マーケティングの講義の中で最も大切だと指摘された、「患者の期待を裏切らないように、関係部門の諸機能を統合する役割」に彼らが向かって成長するかどうかは、むしろ私たちの意識の改革にあるのかもしれない。
 初日のスケジュール終了後に懇親会を開催した。立食粗宴であったが、会話の中から、多くの参加MSWが真剣に個々の所属施設の健全な発展を願い情報収集していたことを、断片的であるが、聞き取ることができた。
 次年度の開催への反省も含め、委員全員がお世話の甲斐を感じた2日間であった。最後に、進行役の牧角委員に感謝する。