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新たな専門医制度で永井委員長が私案示す

新たな専門医制度で永井委員長が私案示す

【厚労省・専門医養成に関する専門委員会】
都道府県ごとに定員枠設定

 「専門医養成の在り方に関する専門委員会」の2回目の会合が4月27日に開かれ、永井良三委員長(自治医科大学学長)が新たな専門医制度の実施によって医師の地域偏在を拡大させないことを念頭に私案を示した。都道府県ごとに「専攻医」の定員枠を設定し、都市部への集中を避ける内容だ。あわせて、都道府県に設置する協議会の権限を強化し、日本専門医機構と調整しつつ、ともに制度運営を担う役割を持たせることを提案した。
 しかし私案の内容を来年4月までに制度化することは難しく、制度をスタートさせながら、私案に沿って調整を進めることになる。このため新たな専門医制度を予定通り来年4月に実施することへの懸念は払拭されていない。
 永井私案は、専門医の需要に応じて、診療科や都道府県に「専攻医」の人数に制限を設けるもの。都道府県ごとの定数は患者数や面積などを勘案して設定する。ただ定員の設定に必要となるデータは現状では不十分だ。このため過去3年間の専門医の採用実績の1.1 〜1.2倍を全国の定員枠とした上で、都道府県の定数は都市部以外の道県に配慮して設定することを提案している。
 あわせて、都道府県に設置する協議会に主体的な役割を求める。具体的には、基幹病院が作成したプログラムと都道府県の定員をもとに、二次プログラムを作成。日本専門医機構と調整しながら、「専攻医」の身分や待遇について監督・指導する役割を担うべきとした。協議会の権限を強化するため、法的な位置づけも視野に入れている。
 永井私案に対しては、医師の需要と供給を均衡させるための技術的な問題点を指摘する意見はあったが、評価する声が多かった。永井委員長は、厚労省に定員の設定方法について、次回までに、準備を進めるよう要請した。
 その上で、永井委員長はこれらの私案を来年4月までに制度化するのは「不可能」との認識を示した。制度をスタートさせながら、試行的に調整していく考えだ。これに対して委員から、「中途半端に始めれば混乱する。この委員会で延期を提言すべき」といった意見が相次いだ。
 また、同日は専門医機構側が組織のあり方について説明した。「専門医の質を担保することと、地域医療をよくすることを調和させる」とし、6月の役員改選に際しては、「地域医療を担うステークホルダーが理事、社員、委員会に十分加われるようにする」方向で、組織改革を行うとした。
 事務局体制については、前身の日本専門医制評価・認定機構から引き継ぎ、当初5人だった職員を段階的に16人まで増員して充実を図った。事務局長が1人、主任3人のもとに、正職員3人、契約職員9人の体制。
 全日病会長の西澤寛俊委員は、組織の外形的な説明だけでなく、「これまでどのような議論が内部で行われてきたのかをふまえた上で、組織のガバナンスのあり方を議論する必要がある」と主張。社員総会などの議事録の提示を求めた。日本医療法人協会の加納繁照委員は、「地域医療を守るために、若い医師が必要。すべての医師が専門医を目指せば地域医療がおろそかになってしまう」と指摘した。

 

全日病ニュース2016年5月15日号 HTML版

 

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