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ホーム全日病ニュース(2022年)第1022回/2022年12月1日号DPC/PDPS、短期滞在手術の見直し、新型コロナウイルスの対応について

DPC/PDPS、短期滞在手術の見直し、新型コロナウイルスの対応について

DPC/PDPS、短期滞在手術の見直し、新型コロナウイルスの対応について
~感染防止対策加算の見直し等~

【診療報酬改定シリーズ●2022年度改定への対応⑦】全日本病院協会 医療保険・診療報酬委員会委員 森永真彰

 これまで医療保険・診療報酬委員会では、「診療報酬改定シリーズ」を毎月連載してきたが、今回でシリーズ最終となる。

【DPC/PDPS】
 今回2022年度改定では、DPC/PDPSの全体像については大きな変更はなく、▼医療機関別係数の見直し、▼算定ルールの見直し、▼退院患者調査の見直しが行われた。改定により傷病名数は前回改定より増減はないが、診断群分類数は169増の4,726、包括対象の分類数と支払い分類数は共に74増の4,064と2,334となった。

1 医療機関別係数の見直し
 基礎係数や機能評価係数Ⅰは現行の設定方法、評価手法を維持となった。機能評価係数Ⅱ(9項目→10項目)の中でも地域医療指数は、<へき地>評価を「へき地医療拠点病院の指定かつ主要3事業を年12回以上」と定め、災害拠点病院指定以外へはBCPの策定が盛り込まれた。新たな項目の< 感染症> 評価では、新型コロナウイルス感染症に係る病床確保(新型インフルエンザ患者医療機関にも該当する場合はさらに加算)やGMISへの年間参加割合を評価に追加し修正した。保険診療指数は保険診療の質的改善に向けた取組みを令和6年度からの評価を検討と明記された。

2 診療報酬改定(出来高体系)の反映
 診療報酬改定に伴う激変緩和に対応した、激変緩和係数を設定(改定年度の1年間のみ)

3 算定ルールの見直し
 短期滞在手術3に相当する診断群分類や、その他手術等に係る診断群分類であって、一定の要件を満たすものについて、点数設定方式Dにて算定することとなった。評価数は95分類から153分類に増加した。
 治療目的での手術等が定義されている診断群分類以外の場合には、他院から退院してきた症例と、自院に直接入院した症例において医療資源投入量の傾向に相違が見られることから、疾患の頻度が高く、かつ医療内容の標準化が進んでいると考えられる疾患であって、手術が定義されていない診断群分類において、他院からの転院の有無により評価を区別する。(急性心筋梗塞050030xx99000x狭心症、慢性虚血性心疾患050050xx9900xx 050050xx9910xx 050050xx9920xx 心不全050130xx9900xx 股関節、大腿近位の骨折160800xx99xxxx)
 入院初期に投じられる医療資源投入量は、経年的に増加が見られる実態を踏まえ、標準的な点数設定方式Aについて、入院初期(入院期間Ⅰ)をより重点的に評価する体系に見直された。

4 退院患者調査の見直し
 様式1へは5項目が追加され、1項目が簡素化された。

【短期滞在手術等基本料の見直し】
 ▼短期滞在手術等基本料1は(イ)麻酔を伴う手術、(ロ)イ以外の手術に区分され、全身麻酔を伴う短期滞在手術が行われる日に麻酔科医の勤務が配置要件となった。▼短期滞在手術等基本料2は廃止、▼短期滞在手術等基本料3の対象手術のうち入院外での実施割合が高い手術・検査が新たに追加され、該当検査・手術が19から57に拡充され、既存の手術等については実態を踏まえ評価を見直すこととなった。

【感染対策向上加算】
 2021年12月10日社会保障審議会医療部会で示された2022年度改定の基本的視点と具体的方向性で、4つの方針の筆頭に(1)新型コロナへの対応が明記された。地域での新型コロナ感染対策を、医療連携を踏まえて点ではなく面として体制強化するために、従前の「感染防止対策加算」を改め、「感染対策向上加算」を新設、診療所については、「外来感染対策向上加算」を新設した。
 「外来感染対策向上加算」を届け出る診療所においては、「感染対策向上加算1」に係る届出を行った医療機関との連携を要件とし、「連携強化加算」を新設、さらに地域や全国のサーベイランスに参加し、情報提供体制を取ることで「サーベイランス強化加算」が新設された。
 ただし、改定後の通知文書にて、「感染対策向上加算1」の要件は「コロナ重点医療機関」であるとし、「同加算2」は「コロナ協力医療機関」であることとされた。「感染対策向上加算1」の届出医療機関は「指導強化加算」算定のために診療所等の囲い込みや、「連携強化加算」算定を目指す診療所への対応、合同カンファレンス参加施設としての駆け込み申請等で混乱を生じた。また「感染対策向上加算2」や「感染対策向上加算3」の届出医療機関についても、「連携強化加算」や「サーベイランス強化加算」を算定するために、従前の「感染防止対策加算」で既に地域で感染防止対策ネットワークを構築していた地域医療連携においては、既存の体制枠組みの見直しを迫ることとなり、医療現場に少なからず混乱を招くことになった。

【まとめ】
 新型コロナウイルス感染症を取り巻く環境は、今後も日々変化を続けるため、より医療現場に即した診療報酬体系の構築を期待して、今後の中医協での審議を注視していきたい。

 

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