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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号周産期、救急、へき地、精神医療などの指標見直しを了承

周産期、救急、へき地、精神医療などの指標見直しを了承

周産期、救急、へき地、精神医療などの指標見直しを了承

【厚労省・医療計画見直し検討会】厚労省・医療計画見直し検討会第7次計画の中間見直し

 厚生労働省の医療計画の見直し等に関する検討会(遠藤久夫座長)は11月28日、都道府県の第7次医療計画の中間見直しに向け、5疾病5事業および在宅医療の整備のうち、周産期、救急、へき地、精神、がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病の指標見直し案を大筋で了承した。次回の会合で、残りの小児、災害、在宅医療を議論し、年内にまとめ、2020年度からの中間見直しに反映させる考えだ。
 周産期医療については、妊産婦が妊婦健診や産科医療にアクセスできる体制を確保しつつ、異常分娩に対応できる機能の集約化が必要との認識で一致。精神科との連携でハイリスク妊産婦連携指導料1・2の届出医療機関数を追加するなどの見直しを行う。全日病副会長の織田正道委員も、集約化の必要性を指摘。「集約化で勤務環境の改善も期待できる。女性医師が多い産婦人科では特に働き続けられる環境が大事」と述べた。
 また、「災害小児周産期リエゾン任命者数」を重点指標に変更する。災害医療と小児医療の指標にも追加するとともに、災害医療の体制構築との整合性に留意する。周産期母子医療センターに限らず、災害時の都道府県全体の小児・周産期医療の提供体制に関わる者を任命する。
 救急医療は、「救急車の受入件数」、「転院搬送の実施件数」、「搬送時間」を指標に加える。「二次救急医療機関等の救急医療機関やかかりつけ医、介護施設等の関係機関が参加したメディカルコントロール協議会の開催回数」には「多職種連携会議等」を加える。介護施設などの看取りで、不要不急の求められていない救急搬送をなくしていくことを目指す。
 へき地医療では、「へき地医療拠点病院の中で主要3事業(巡回診療・医師派遣・代診医派遣)の年間実績が合算で12回以上の医療機関の割合」と「へき地医療拠点病院の中でへき地医療拠点病院の必須事業(巡回診療や代診医の派遣、遠隔診療の支援など)の実施回数が年間1回以上の医療機関の割合」を新たな指標に加える。
 織田委員は、遠隔診療を支援する具体策を質問したが、厚労省は「実施状況を踏まえつつ、8次計画に向け引き続き検討していく」と回答するにとどめた。
 また、地域枠の医師との関係も整理する。へき地は、「無医地区」や「準無医地区」とされる。一方、地域枠の医師のキャリア形成プログラムでは、主に医師少数区域とそれより局所的な「医師少数スポット」で診療に従事することが想定されている。地域によっては、医師少数スポットにへき地が含まれない場合があり、地域枠の医師による医師確保のスキームに乗らない形になる。このため、へき地における医師確保については、費用を誰が負担するかという問題も含め、引き続き検討が必要とした。
 精神医療は長期入院医療を是正し、「入院医療中心から地域生活中心」の対策を進めている中で、退院した患者が実際に地域で生活していることを示す指標として、「地域平均生活日数」を位置づける。現状を把握するため、地域の精神保健医療福祉資源の活用実態を網羅的に把握できるReMHRADを情報源として追加する。
 がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病についても、それぞれ指標案がまとめられており、報告を大筋で了承した。
 糖尿病については、足病変と1型糖尿病の指標を追加する考えが示された。足病変は下肢切断につながり、QOLの著しい低下をもたらすにもかかわらず、アウトカム指標に設定されていない。具体的には、NDB解析を用いて、新規下肢切断術の件数を把握する。1型糖尿病では、専門的治療を行う医療機関数として、「持続皮下インスリン注入療法の管理が可能な医療機関」を把握する。

 

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