全日病ニュース

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医療部会報告「医療法等改正への意見」、次回まとめへ

医療部会

医療部会報告「医療法等改正への意見」、次回まとめへ

【医療部会】
「新たな財政支援創設」「医療法人間の合併・権利の移転」も盛り込む

 

 12月11日の社保審医療部会に、事務局(厚労省医政局総務課)は、病床機能報告制度創設と地域医療ビジョンの策定を踏まえ、機能分化・連携の推進を支える関係者(国、地方公共団体、病院・有床診、国民・患者)の役割と責務を医療法に規定することを提案、部会は基本的に了承した。
 事務局は、また、持分なし医療法人への移行を支援する「移行計画認定制度」を医療法に位置づける方針をあらためて明らかにした。移行に計画的に取り組む医療法人を、国(厚労省)が「認定医療法人」(仮称)に認定、厚労省が指導・助言等の支援を行なうというもの。
 移行検討を書き込む定款変更や移行計画の作成などが認定の要件であるが、補助制度や融資制度による支援だけでなく、出資者の死亡にともなって発生する相続税納税猶予などの仕組みを創設する。
 この相続税納税猶予は、2014年度税制改正大綱(12月12日)に、「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設」として盛り込まれた。
 事務局は、さらに、医療部会の審議内容を整理した「医療法等改正に関する意見(案)」を提示、各委員から修正追加等の意見を受けた。「意見(案)」これまで検討してきた法制上の改正項目(別掲)をすべて網羅。
 とくに、病床機能報告制度と地域医療ビジョンから始まる病床数を医療機能別必要量に収斂させていくプロセスについては、医療機関による自主的な協議をベースにした取り組みなど、同部会における合意内容と今後の検討項目が詳細に書き込まれている。
 2014年度中に病床機能報告制度を開始、同年度中にGLを策定。都道府県は15年度から16年度にかけてビジョンを策定すると、日程の展望も確定した。ただし、ビジョンの策定期限は「一定幅のあるものとすべき」と、都道府県に配慮したものとなった。
 「(消費税増収分を財源とした)新たな財政支援の仕組みの創設」や「医療法人間の権利の移転に関する制度度の見直し」も盛り込まれた。
 「医療法等改正に関する意見」は次回にとりまとめられる見通しだ。

 

西澤会長
病棟と病院の機能概念の違いを指摘。診療報酬と機能区分の間の齟齬を追及

 この日の医療部会で、西澤委員(全日病会長)は、日医・四病協共同提言の追加提言として四病協がまとめた「医療提供体制のあり方―地域包括ケアシステム構築に向けて」を詳しく説明。急性期と回復期の機能をもつ「地域医療・介護支援病院」および「地域支援病棟」の概念を解説した。
 藤本委員(NPO法人地域医療を育てる会)は、「これは地域住民には非常に重要なものだ。高齢者の受入れが期待できる」と提言を評価した。
 西澤委員は、「亜急性期入院医療管理料は病棟化される方向だが、在宅急変を受け入れてはどうかと提案している。
 つまり、急性期と亜急性期が混在する病棟というわけだ。この病棟は、病床機能報告制度で用いられる4 区分のうちの急性期になるのか、回復期になるのか」と質した。
 さらに、「2025年に向かう中、診療報酬と医療提供体制が異なる概念でつくられようとしている。厚労省としての統一見解をうかがいたい」と追及。他方で、急性期や回復期等に特化可能な病棟と、地域の必要で複合的な機能を提供する病院とでは機能概念が異なってくる地域医療の実態を理解する必要を説いた。
 これに対して、土生総務課長は、「これまでは病棟単位で医療機能を論じてきた。病院単位というのは次のステップの議論かと思われる」という認識を表わした。

医療部会報告「医療法等改正に関する意見(案)」の項目は、PDF版(1面)を参照