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ホーム全日病ニュース第815回/2014年12月15日号2014年度診療報酬改定の基本方針

2014年度診療報酬改定の基本方針まとまる

2014年度診療報酬改定の基本方針まとまる

回復期機能に対する診療側の意見を併記

 

 社保審の医療部会(11月22日)と医療保険部会(11月29日)は2014年度診療報酬改定の基本方針をまとめ、12月6日の中医協総会に報告された。基本方針は12月5日の経済財政諮問会議に提示され、議員からは様々な意見が示された。
 先行してまとめられた「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方」(9月6日)の記載を多く採用したため、これまでの入院医療の議論で使われてきた「亜急性期等」を「回復期」と言い換えるとともに、入院医療分科会の報告で示された亜急性期医療の機能に対する診療側の反論を盛り込み、両論併記とした。

2014年度診療報酬改定の基本方針(要旨)

1. 重点課題
①入院医療
i . 高度急性期・一般急性期急性期病床の患者像の検証を基に以下の事項について検討する。
・急性期病床の担う機能の明確化による高度急性期と一般急性期を担う病床の機能強化
・重症度・看護必要度の見直し等による患者の状態に応じた医療の提供
・入院早期からのリハビリや退院・転院支援の推進
・退院・転院に係る連携の強化
・急性期病床の平均在院日数の短縮等
ii . 慢性期(長期療養)
機能分化を図る観点から以下の事項について検討する。
・急性期における長期入院患者の評価の適正化
・長期療養を担う病床の急性期等との連携強化、受入体制の充実 等
iii. 回復期(亜急性期入院医療管理料等)
回復期リハ病棟との機能の違いを踏まえつつ、例えば、急性期病床からの患者の受入れ、在宅・生活復帰支援、在宅患者の急変時受入れなど、亜急性期入院医療管理料における患者像や機能を明確化し、回復期病床の機能に応じた評価について検討を行なう。他方、在宅患者の急性増悪には急性期病床が対応すべきであり、また、亜急性期という表現の中で急性期と回復期を含むと非常に分かりにくいため、病期に応じて報告する病床の区分に合わせ議論を整理すべきという意見があった。
iv. 地域特性について
12年改定で行なった地域の実情に配慮した評価のあり方について検討する。
v. 有床診療所における入院医療
地域包括ケアシステムの構築を目指す中で有床診療所の評価について検討する。
②外来医療
外来医療の機能分化・連携を更に推進するため、以下の事項について検討する。
・診療所や中小病院における主治医機能の評価
・大病院の専門外来の評価
・大病院の紹介外来を更に推進する方策 等
③在宅医療
介護報酬との連携に留意しつつ、以下の事項について検討する。
・看取りを含め、在宅療養支援診療所
・病院の機能強化
・在宅療養支援診療所・病院以外の医療機関による在宅医療の推進
・機能に応じた訪問看護ステーションの評価、その大規模化の推進
・訪問診療の適正化 等 
④医療機関相互の連携や医療・介護の連携によるネットワークについて
機能分化・連携や医療・介護の連携をさらに推進するため、病院、医科・歯科診療所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業所等のネットワークで、病院から在宅への円滑な移行や医療・介護の切れ目のない連携を図ることへの評価を検討する。
2. 改定の視点
(1)充実化の視点
・緩和ケアを含むがん医療の推進
・精神病床の機能分化、精神疾患に対する医療の推進
・若年性認知症を含む認知症への対策の推進
・救急医療、小児医療、周産期医療の推進
・在宅復帰を目指したリハビリの推進
・手術等の医療技術の適切な評価 等
(2)安心・安全で質の高い医療を実現する視点
・医療安全対策等の推進
・明細書無料発行の推進
・入院中のADL(日常生活動作)低下の予防
・患者データの提出 等
(3)医療従事者の負担を軽減する視点
・医療従事者の負担軽減の取組
・救急外来の機能分化の推進
・チーム医療の推進 等
(4)効率化余地がある分野を適正化する視点
・後発医薬品の使用促進
・長期収載品の薬価の特例的な引下げ
・平均在院日数の減少、いわゆる社会的入院の是正 等
Ⅲ. 消費税率8%への引上げに伴う対応 略
Ⅳ. 将来を見据えた課題 略