全日病ニュース

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「医療事故の届出事項」「院内調査事項」について検討

▲研究班会議後に会見する西澤会長(7月30日)

「医療事故の届出事項」「院内調査事項」について検討

【診療関連死調査手法に関する研究班会議】
診療関連死調査手法に関する研究班会議ガイドライン案へ、個別テーマごとに合意・確認を重ねる

 6月に成立した改正医療法に盛り込まれた医療事故調査制度のガイドライン案を検討している「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班会議」(研究者・西澤寛俊全日病会長)は、7月30日の第2回班会議で「医療事故の届出等に関する事項」、8月6日の第3回班会議では「院内調査に関する事項」を議題にとりあげた。
 「医療事故の届出等に関する事項」をテーマとした第2回班会議は、(1)具体的な届出基準、(2)届け出るべき事案を決定するプロセスの標準化、(3)センター(第3者機関)への報告事項、(4)遺族への事前説明事項を議題に検討を行なった。
 (1)については、調査対象となる事案の考え方を標準化することが前提となり、それを具体的に例示する必要があるという認識で一致した。医療事故の定義を明確にすることに関しては、医療事故情報収集等事業にかかわる2004年の医政局長通知による分類と診療関連死の調査分析モデル事業での具体的事例を参考に対象事案を整理してはどうかという意見があった。
 (2)の事案決定プロセスの標準化については、①一定の望ましい院内体制を示す、②小規模機関でも実施できるように相談機能を設ける、③医師会等の職能団体が適切な支援を行なう体制を構築する、④遺族からセンターへの調査申し出は何らかの形で医療機関にフィードバックして管理者の判断に繋げる仕組みを設けること、を確認した。
 (3)のセンターへの報告に関しては、モデル事業や医療事故情報収集等事業での届出事項を参考に検討することで合意した。
 (4)の遺族への事前説明事項についても、モデル事業での実績を参考にしつつ、今後の議論を深めていくことで一致した。
 第3回班会議は「院内調査に関する事項」をテーマに、(1)医療事故調査項目、(2)支援団体の支援、(3)センターと支援団体の役割分担について検討した。
 医療事故調査項目についてはモデル事業などの例を基本として整理していく方向を確認。解剖とAiについては、①それが望ましいケースの考え方を一定整理する一方で、必要な時に実施できるよう体制整備を行っていく、②調査期限は一定の目安を設けるが、具体的には調査項目が固まった後に検討することなどを確認した。
 支援団体の支援については、調査の具体的な技術支援と評価の支援等を分けて、そのあり方を整理すること、また、第3者性の担保を前提とした上で、各地域で様々な団体が動けるよう連携を確保するとともに、そこで得られた成果を広く情報共有することで医療全体の質の向上に役立つようにするという考え方で一致した。
 センターと支援団体の役割分担については、①センターは制度全体の仕組みに関する助言を行ない、支援団体は専門的・技術的な分野について支援するという考え方を確認した。