全日病ニュース

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「協議の場」の設置・運営で合意。病院団体も構成要員

「協議の場」の設置・運営で合意。病院団体も構成要員

【地域医療構想策定GL検討会】
都道府県知事は開設・増床や「過剰機能への転換」に協議への参加を要請できる

 11月21日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は、GLに盛り込む、地域医療構想の「協議の場」の設置・運営に関する内容を検討した結果、基本的に、事務局(厚労省医政局地域医療計画課)が示した案で臨むことで一致した。(「策定プロセス」は4面、事務局案の詳細は5面に掲載)  

分化・連携推進に必要な事業への基金活用も協議事項

 「協議の場」は、医療関係者等が集まって地域医療構想の実現に必要な手段等を話し合う場として、都道府県が2次医療圏と概ね重なる構想区域ごとに開催する。その名称については、事務局案から「地域医療構想調整会議」を採用することで合意した。
 基金の都道府県計画策定に合わせて定期的に開かれる場合もあるが、結論を要する問題が生じた場合は随時開催される。広域的な課題について複数の「協議の場」が合同開催するケースもあるなど、基本的に、柔軟な運用を図る考えで検討会は一致した。
 参加者の構成は「医師会、歯科医師会、病院団体、医療保険者を基本とする」が、「都道府県は、議事等に応じ、参加を求める病院・有床診療所を柔軟に選定できるようにすることが適当」とも記された。
 通常開催の場合は前出の基本メンバーで臨むが、テーマによって、参加者は、個別医療機関や各種の関連団体に及ぶということで、その裁量は都道府県に委ねられる。また、開設・増床等の許可申請や過剰な機能への転換に関する協議が行われる場合は、「その当事者及び利害関係者等に限って参加することが考えられる」ともされた。
 「協議の場」は公開を基本的とするが、患者情報や医療機関の経営情報が扱われるケースは非公開にできる。ただし、その結果は、原則として公表かつ周知されることになる。
 また、「協議の場」に専門部会やWG等を設置して当該議題の関係者が具体的な話し合いを行なうことや、「協議の場」への参加が求められていない病院・有床診からも意見提出を求める(表記上は「望ましい」)といった取り組みも、「協議の場」の裁量となる。
 調整会議の議事テーマは、①病床機能と病床数に関する協議、②病床機能報告制度による情報等の共有、③(地域医療介護総合確保基金)都道府県計画に関する協議、④その他地域医療構想の達成に関する協議(地域包括ケア、人材の確保、診療科ごとの連携など)と、整理された。
 ③の「(基金)都道府県計画に関する協議」とは、例えば、不足している機能を各病院に担ってもらうという合意ができた場合に、その実現に基金を活用する必要があり、当該都道府県を含めて基金の都道府県計画に盛り込む方針を決めるなど、基金を活用した機能分化・連携を話し合うためだ。
 前出の①~⑤は「協議の場」における通常の議事テーマであり、開設・増床の許可申請や「過剰な機能への転換」がなされた場合は、別途、当該申請や転換に関する協議が行なわれることになる。
 この場合に、「過剰な機能への転換」というのは、医療法における病床種別変更の許可申請をいう。したがって、一般病床から療養病床への、また、その逆の変更が構想区域の各機能の病床必要量を超えているケースは(都道府県知事の判断によって)協議の対象となるということになるわけだ。
 これに関連して、構成員である全日病の西澤会長は、「協議の対象となるのは(過剰機能への)転換を行なう場合であり、既存の機能にとどまる限り、医療機関は何ら協議の対象にはならないという理解でいいか」と確認を求めた。
 北波課長は「(協議の対象は」法律が定める通りであり、(指摘されたケースは)対象とはならない」と答えたが、仮に、現状の機能が必要量を大きく超えたときに、その機能にとどまることがどこまで 可能か、一抹の不安は残るところだ。

協議への参加拒否と合意事項不履行に知事権限を行使

 そのほか、事務局案には、「協議への参加の求めに応じない関係者」に対して都道府県がとる措置や「合意された方法と履行の担保」のしかたに関する考え方が整理されている。
 「協議への参加の求めに応じない」というのは、1つには、開設・増床等の許可申請をした医療機関は、都道府県知事から協議への参加を求められたときは、これに応ずる努力義務が改正医療法で課せられたが、これに応じない医療機関を指す。
 このケースに、事務局案は「正当な理由なく協議に参加しない場合に、都道府県知事は当該許可に条件を付することが考えられる」とした。
 もう1つは、過剰な医療機能に転換しようとする医療機関に、都道府県知事から協議への参加が求められたときはこれに応ずる努力義務があるという改正医療法の規定で、正当な理由なく参加を拒む医療機関について、事務局案は「『協議の場』における協議が調わないときと同様の措置を講ずることができるようにすることが考えられる」と記した。
 「協議が調わないときの措置」とは、「協議が調わないとき、その他厚生労働省令で定めるとき」に、都道府県知事は、都道府県医療審議会への出席・説明を求め、さらには、都道府県医療審議会の意見をきいて転換中止の命令・要請を出せることをいう。
 この場合に、私的医療機関については、転換中止の「要請」ということになる。
 協議の結果は関係者による合意書等にまとめられ、その履行が求められる。
 事務局案は、「関係者が正当な理由なく合意事項を履行しない場合には、『協議の場』における協議が調わないときと同様の措置を講ずることができるようにすることが考えられる」と、最終的には「転換中止の命令・要請」にいたる都道府県知事の権限行使を担保とする旨を記した。