全日病ニュース

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介護報酬改定の議論終わる。次回に「審議報告」

介護報酬改定の議論終わる。次回に「審議報告」

【2015年度介護報酬改定】
居宅サービス基準案を承認。配置・運営弾力化が目白押し

 介護給付費分科会は2015年度介護報酬改定の議論を終え、改定方針のとりまとめに入った。11月26日の分科会は居宅サービスの基準案をまとめた(3面に関連記事)。
 施設サービスのうち、介護老人保健施設については、①在宅強化型の基本施設サービス費と在宅復帰・在宅療養支援機能加算の点数(単位数)を引き上げる、②入所前後訪問指導加算の要件を追加した上で点数を上げる、方針が示された。
 介護療養型医療施設に関しては、①身体合併症をもつ認知症患者、医療処置を受けている患者、ターミナルケアの患者がそれぞれ一定割合入院している、②生活機能を維持改善するリハを行なっている、③地域に貢献する活動を行なっているという要件をすべて満たす施設を「療養機能強化型介護療養型医療施設(仮称)」として、それ以外の介護療養型医療施設よりも高い点数とする、考えが示された。
 併せて、介護保険3施設における、(1)口腔機能維持加算は口腔衛生管理加算に、口腔機能維持管理体制加算は口腔衛生管理体制加算にそれぞれ改称、かつ、多職種による取組のプロセスや栄養管理に加えて咀嚼能力等の口腔機能を踏まえた経口維持管理を評価するものへと、その内容を見直す。
 また、(2)経口移行加算を経口移行訓練加算と改称した上で、栄養管理とともに咀嚼能力等口腔機能を含む摂食・嚥下機能の強化と回復の取り組みを評価するものへとあらためる。
 さらに、療養食加算と経口移行加算・経口維持加算の併算を可能とし、かつ、評価内容の見直しを行なう、という提案が事務局(厚労省老健局老人保健課)によって行なわれた。
 改定方針は、次回(12月19日)に審議報告としてまとめられる見通しだ。
 一方、11月26日の介護給付費分科会は、居宅サービスに関する基準案を了承した。
 地方分権法等によって、指定居宅サービスの運営基準は市町村の条例に委任されているが、15年度に施行されるためには年度内に各議会で条例改正を成立させなければならない。
 各市町村は年明け議会での審議が見込まれているため、改定審議のとりまとめと改定の答申に先立って基準案を固める必要があった。
 一方で、15年4月に統一地方選を控え、各市町村の議会は例年より短期間の議会を迫られており、15年度改定を踏まえた予算案の作成・成立等の作業にも追われている。
 この日の分科会で、全国市長会の委員は「15年度に間に合わない恐れがある」と警告したが、パブコメの時間を含め、基準案の確定は「ギリギリの日程」(事務局)であった。
 事務局が示した基準案は、各サービスの人的配置・運営要件を緩和・弾力化する方針がずらりと並ぶ、効率化重視のものとなった。
 委員からは「報酬削減を前提とした見直しではないか」などの不満も出たが、田中滋分科会長(慶大名誉教授)は「地方にとっては時間がない。概ね了解とさせていただきたい」と押し切り、事務局は「パブコメ後に、再度、確認の時間をとりたい」ととりなした。