全日病ニュース

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10回目の講習会に定員を超える応募。女性医師の参加も増加

【2014年度臨床研修指導医講習会の報告】

10回目の講習会に定員を超える応募。女性医師の参加も増加

2014年度臨床研修指導医講習会チーフタスクフォース佐賀大学医学部附属病院卒後臨床研修センター准教授 江村 正

 全日病と医法協の共同主催による「臨床研修指導医講習会」は、会員病院の医師および管理者に、今まで以上に教育に目を向けてもらうことをコンセプトにし、2007年度から開始した。
 08~09年度は年2回開催し、ここ数年は年1回行っており、今年がちょうど10回目であった。医師臨床研修制度を経験した参加者も増え(14年以降に医師免許取得した人が9名)、女性の参加も39人中6人と昨年より多かった。
 今年度の講習内容は、「より良い研修病院になるために-問題点を挙げる」「カリキュラム作成」「より良い研修病院になるために-問題点の解決策を考える」の3つのワークショップを柱とし、その前後に、「医師臨床研修制度の概要」「臨床研修と地域医療」「今の研修医は卒前教育で何を学んでいるか」「情報交換会」「特別講演」「コーチング」「研修医のメンタル・ヘルス」を入れ、有機的に結びつくように工夫した。
 「医師臨床研修制度の概要」は、本年もこのテーマに最も詳しい厚生労働省医政局医事課の北澤潤課長にお願いをした。初期研修のことを中心に、卒前教育や専門医制度のことも含め、医師の教育に関して網羅的な話が聞けた。
 引き続き、「臨床研修と地域医療」と題して、比較的規模の小さい会員病院の事例を紹介した。
 医学部卒前教育の紹介は、PBL、TBL、OSCE、CBTといった医学教育用語の理解を深めてもらい、既に医学生ではない、研修医に何を修得させるかということを考えてもらうヒントとしてもらう目的で、本年も取り入れた。
 カリキュラム作成に関しては、本年も、目標、方略、評価作成まで作業が一通り終わってから、「Myミニカリキュラム作成」と題して、明日から自分の職場で使える、SBO、方略、評価を作成してもらった。
 各グループから優秀なカリキュラムを選び、それを報告書に載せることとした。
 特別講演は、「研修医が研修病院に求めること」と題し、現在の医師臨床研修制度で研修を修了した3名の若手医師より講演してもらった。様々な経歴の先生が、詳細にわかりやすく話をしてくださったので、非常に有用だったようである。
 指導スキルとして、毎年コーチングのDVDを見てもらっていたが、今年は、タスク・フォースのロールプレイを含めた講演とした。「明日から使ってみます」という声が大変多く聞かれた。研修医のうつ状態についても説明を行った。
 参加者は皆、非常に熱心な討論を行った。本制度で研修を行った参加者が増えたためか、問題点は非常に深く掘り下げられ、対応策も、実際に参加者のヒントになる十分練られたプロダクトであった。
 全日病・医法協の「臨床研修指導医講習会」は来年も11月に開催する予定である。本年はキャンセル待ちの状態であった。是非早い時期から、周りの人への参加を勧めていただくようお願いしたい。