全日病ニュース

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厚労省 「法人も一般の医療法人社団の社員になることを可能とすべき」

厚労省
「法人も一般の医療法人社団の社員になることを可能とすべき」

【非営利新型法人】
非営利新型法人 新たな考え方を追加した論点を再提示。次回から取りまとめの議論

 11月27日の「医療法人の事業展開等に関する検討会」に事務局(医政局医療経営支援課)は、非営利新型法人(地域連携型医療法人=仮称)について、前回(10月10日)提示したものに追加の考え方を加筆した論点を示した(別掲)。
 新たな論点で、参加対象は「医療事業を実施する法人」とされたが、この医療事業(医療施設)は病院、診療所、助産所、老健施設で、訪問看護ステーションは入らないと事務局は説明した。
 「二以上の事業地域範囲で病院等を開設している法人・自治体病院等も当該地域の病院に限って参加を認める」という事務局案には、田中座長(慶大名誉教授)から、「経営方針を貫く組織に、別組織の1事業部(当該地域の病院)が参加するという考え方は理解できない」と強い疑問が示されたが、事務局は「そうしたことが可能か否かを含めて検討中である」と答えるにとどまった。また、社会福祉法人の傘下に関しては、あらためて、社福系の委員から強い疑問が表明された。
 関連事業を行なう株式会社への出資には強い反対意見が出る一方、「(余剰資金の流出を防ぐために)100%の出資でないと認めがたい」とする意見もあった。理事長については医師を要件とすることで概ね一致した。
 新型法人については、政府から年内の結論を求められている。事務局は、次回会合で報告とりまとめの議論に入りたいと、意見の集約を要請した。
 この新たな論点には、「一般の医療法人社団について、法人も社員になることが可能であることを明確化してはどうか」と加筆された。
 医療法人として位置づける新型法人(社団)に法人が参加することを踏まえ、従来の社団医療法人も足並みを揃えさせようということだが、この考え方は、そもそも新型法人とは別に政府の方針でもあった。それを、一気に実現する意向をここで表明したものといえよう。
 その医療法人社団を含む医療法人に関して、事務局は、①医療法人会計基準の適用と公認会計士等による外部監査を義務づける、②一定規模以上に計算書類の公告を義務づける、③メディカルサービス法人との関係を事業報告に記載させる、④理事長・理事の忠実義務、損害賠償責任等を医療法に規定する、ことを提案した。
 さらに、複数法人の持分なし医療法人(社会医療法人・特定医療法人は除く)による事業分割について、分割して移転する資産に係る法人税が課税繰延べ、不動産取得税が非課税となる適格分割の要件を、詳しく説明した。

地域連携型医療法人制度(仮称)のポイントと論点(要旨)*前回の論点に加筆

◎新型法人の事業地域範囲
 地域医療構想区域を基本として、地域の医療事業を実施するのに適当な範囲を新型法人が定め、都道府県知事が認可する範囲とする。(前回どおり)
◎新型法人の対象範囲
・参加法人は事業地域で医療事業(病院、診療所等)を実施する法人としてはどうか。社会福祉法人の取り扱いは引き続き検討してはどうか。(前回は「法人・個人を問わず対象とする」)
・二以上の事業地域範囲で病院等を開設している法人・自治体病院等については、新型法人と当該法人の方針が異なる場合の調整規定を設けた上で、対象を当該地域の病院に限って参加を認めてはどうか。(前回どおり)
・地域内の介護事業を実施する者の参加は引き続き議論。(前回は「どう考えるか」)
◎新型法人の業務内容
・統一的な事業実施方針の決定を主な業務としてはどうか。(前回どおり)
・その内容として、医療機能の分化・各医療機関等の連携に関する事項は必須とし、その他の共通業務・管理業務等は法人の自治に委ねてはどうか。(今回加筆)
・法人全体におけるキャリアパスの構築、医薬品等の共同購入、参加法人等への資金貸付等を実施できることにしてはどうか。(前回どおり)
・そのうちの資金貸付等(貸付、債務保証、出資、贈与)については引き続き議論が必要。なお、上記貸付等は社会福祉法人は対象としないことにしてはどうか。(今回加筆)
・関連事業を行なう株式会社への出資については引き続き議論。(前回は「どう考えるか」)
・一般社団法人等への出資について、基金への出資のように贈与とならない範囲で認めてはどうか。当該出資は、毎年度、都道府県に報告することにしてはどうか。(今回加筆)
・新型法人自身による病院等の経営については引き続き議論。(前回は「どう考えるか」)
◎新型法人のガバナンスの仕組み
・社団の場合の議決権の取扱いは引き続き議論。(前回は「各社員1議決権とする」)
・財団の場合、理事は評議員会が選んだ者が、評議員は寄附行為で定める方法により選んだ者が就任してはどうか。(前回どおり)
・参加法人を統括する新型法人は、参加法人の事業計画や予算等に対して、
①新型法人に対して意見聴取・勧告を行なうという一定の関与、②協議・承認(不承認の場合の修正指示)を行なうという強い関与、のどちらかを選択できることにしてはどうか。(前回どおり)
・新型法人の意見聴取・勧告又は協議・承認の対象となる事項は、参加法人の該当事業予算、借入金、重要資産の処分、事業計画、定款(寄附行為)変更、合併・解散に関する事項とするが、これらに加え、各新型法人の決定で役員選任等対象事項を追加できるようにしてはどうか。(今回加筆)
*なお、一般の医療法人社団について、法人も社員になることが可能であることを明確化してはどうか。ただし、営利法人は社員になれないとしてはどうか。(今回加筆)
・理事長要件については引き続き議論が必要。(前回は「どう考えるか」)
・新型法人が社団の場合、地域の関係者で構成する地域協議会(仮称)を開催し、新型法人に意見具申できるようにしてはどうか。財団の場合は、地域関係者を評議員の一定割合以上に任命することにしてはどうか。(前回どおり)
・地域協議会は、地域医療に関して設定された目標・貢献度等を基に、新型法人設立の目的が達成されているかを評価してはどうか。財団の場合は評議員会が同様の役割を担うことにしてはどうか。(今回加筆)
・社団、財団とも地域関係者を理事に任命することにしてはどうか。(前回どおり)
◎新型法人の非営利性の確保等
・新型法人における剰余金の配当は禁止してはどうか。(前回どおり)
・解散時残余財産の帰属先は国や地方公共団体等に限定してはどうか。(前回どおり)
・新型法人の設立認可など都道府県知事の認可が必要な案件は、都道府県計画、市町村計画等関連計画との整合性を確保、かつ、都道府県医療審議会の意見を聴くことにしてはどうか。(今回加筆)
◎新型法人の透明性の確保
・参加法人の病院等は新型法人に参加している旨を表記することにしてはどうか。(今回加筆)
・新型法人には、公認会計士等による外部監査や財務諸表の公告を義務づけてはどうか。(前回どおり)
・新型法人と参加法人全体の財務諸表の作成について、会計基準が異なることに伴う技術的な課題を整理しつつ、検討してはどうか。(今回加筆)