全日病ニュース

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調査結果の報告や遺族に対する説明のあり方で議論

調査結果の報告や遺族に対する説明のあり方で議論

【診療行為関連死の調査手法に関する研究】
事故調査報告を構成する項目等を確認。意見分かれる論点も

 診療関連死調査のガイドラインを検討している2014年度厚生労働科研の研究班(研究者・西澤寛俊全日病会長)は8月20日の会合で「院内調査結果の報告や説明のあり方」について検討。西澤会長は記者会見で議論の概要を要旨以下のとおり説明した。
 「この日は、①報告書を作成するかどうか、②作成する場合の報告事項をどうするか、③遺族に対する説明をどうするかを論点にあげて議論したが、意見が分かれる論点もあったため、今後、院内調査の具体的内容の議論を進める中で、さらに検討を深めていくことが確認された。
 ①については報告書を作成するべきという意見がある一方、裁判に使われることへの懸念から、死因は診療録に記載するのが通常であるため、その開示で足りるのではないかという意見もあり、院内調査の具体的内容を議論したうえでさらに検討することになった。
 ②に関しては、報告書は、調査の目的、事実関係の概要、医学的評価、結論、関係者への対応等などの項目でいったん整理、さらに検討を重ねることにした。
 このうち、再発防止策については、院内調査結果の報告書では触れない方がよい、あるいは、ケースバイケースであるので必須項目としないことにしてはどうかという意見もあった。
 また、院内調査と「医療事故調査・支援センター」の関係については、この制度は院内調査を行なうことが基本であることから、自律的な院内調査でできるだけ原因究明に努めるべきであること、また、院内調査の結果を待たずにセンターの調査が行なわれることは回避すべきであるとの意見があった。
 ③の説明のあり方に関しては、遺族への説明は調査を行なった者あるいは患者の主治医が行なうべきなどの意見が示されたが、遺族を代表する研究協力者からは、最終報告だけでなく中間報告も説明してほしいという意見、あるいは、遺族の気持ちは何が起きたのかを知りたいということであり、それをきちんと説明すれば紛争にはならないのではないかという考えが示された。
 また、診療関連死といっても様々なケースがあるので、ガイドラインで示すものは、原則と典型、配慮すべき事項の範囲にとどめてはどうかという意見も出た」
 会見の最後に、西澤会長は「様々な意見が出たが、結論的には、患者と医療者の信頼関係が崩れないような調査のあり方を検討していくということにつきるのではないか」と、議論の方向を説明した。