全日病ニュース

病院の物価対応と強靭化を来年度予算の最重点要望事項に

【四病協】2025年度予算概算要求に関する要望書をまとめる

　四病院団体協議会は４月24日に総合部会を開催し、2025年度予算概算要求に関する要望書を大筋で了承した。最重点要望事項として、「物価等の社会情勢に応じた診療報酬体系での柔軟な対応の確立」「病院の災害面・感染対策面を含めた強靭化対策」を掲げた。猪口雄二会長の代理で会見を行った全日病の織田正道副会長は、物価等対応について、「診療報酬改定は２年に１度であり、急激な変化に対応できる柔軟な仕組みが必要だ」と訴えた。
　保険医療機関は診療報酬という公定価格で運営しており、価格転嫁で物価高騰に対応することができず、昨今、非常に厳しい状況に置かれている。要望書では、「物価等の社会情勢に応じた診療報酬体系での柔軟な対応の確立」について、「社会情勢の変化を診療報酬に反映させられる全く新しい制度」の必要性を主張している。
　「病院の災害面・感染対策面を含めた強靭化対策」に関しては、最近でも能登半島地震をはじめ災害が相次いでいる。また、災害対応だけでなく、現状の診療報酬は医療機関の増改築ができる水準が確保されていない。総合部会の議論では、病床削減を伴う病院の合併などを中心に補助される地域医療介護総合確保基金ではなく、老朽化等に対応したかつての医療施設近代化施設整備事業のような事業の復活を求める意見が出された。
　要望書では最重点要望事項以外にも、人材確保や医療DXに関する予算措置を含め、2025年度予算に関わる様々な重要項目などを盛り込んでいる。５月中に厚生労働省に提出する。
　また、総合部会では、当面の経済財政の方針を閣議決定する骨太の方針に向け、財務省が「診療報酬の地域別単価の導入」を提案するなど医師偏在対策の議論が活発になっていることに対しても議論が行われた。四病協として、状況の推移を注視しつつ、対応を慎重に検討するとの方針を確認した。
　最近開催された厚労省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」や「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」などをめぐる議論もあった。織田副会長は両者に関し、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上の高齢者の急増を踏まえた新たな地域医療構想やかかりつけ医機能の制度整備が求められることを強調した。在宅療養支援診療所・病院の役割が大きいことも加えた。