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ホーム全日病ニュース(2024年)第1055回/2024年5月15日号病院情報システムアプリ化トレンドへの対応

病院情報システムアプリ化トレンドへの対応

病院情報システムアプリ化トレンドへの対応

【医療DX人材育成プログラム⑪】
今年度も研修会を開催
高橋泰 国際医療福祉大学教授、全日病広報委員会特別委員

 2024年度も、全日病は「医療DX人材育成プログラム」を開催する。今年のプログラムの目標は、第一に世界の趨勢を意識しつつDXを進めるために必要な必要最小限の技術に関する知識の習得、第二に病院が購入可能な金額でシステムを維持するために必要な知識を身につけてもらうことである。
 DX は、業務の効率化を実現する「高機能」と病院が購入可能な「低価格」を同時に満たす必要がある。それには病院情報システムを「院内のサーバーのネットワーク」から「アプリの連携によるネットワーク」に変更する以外に方法はないだろう。
 例えば、スマホのアプリは驚くほど高機能で無料あるいは非常に低価格であり、エクセルは電子カルテの何百倍も高機能だが価格は数千分の一レベルである。これらのアプリは、多くのユーザーが使用するのでカスタマイズできないが、価格も安い。
 図1で、A病院の現在と近未来の情報システムを例に、病院情報システムの現状と将来を示した。図1右下は、院内に電子カルテなどのサーバーを置き、端末と接続して構築される現在のA病院の病院情報システムを表す。図1上部はGoogle、Amazon、Microsoftのプラットフォーム上に、G-mail、Google翻訳、キントーン、Copilotなどのアプリが、プラットフォームの垣根を越えた互換性を保ちながら連携している世界の趨勢を示す。図1左下は、Googleのプラットフォーム上に複数の病院で共通に使用するアプリ型電子カルテを使用している、近未来のA病院を示している。A病院のスタッフは、アプリに仕事を合わせる不便さはあるが、スマホを通してどこからでも安全に電子カルテを利用することができ、音声入力や生成AIによる退院サマリの自動作成サービスが利用でき、しかも病院がベンダーに支払う額は、これまでのシステムよりかなり安くなっている。
 診療所向け、100床未満の病院向けのアプリ型の電子カルテは日本でも普及し始めているが、中規模以上の病院向けのものは2024年5月時点で存在しない。しかし世界の趨勢を考えると、数年以内に高機能病院対応のアプリ型電子カルテが現れる可能性は非常に高い。病院業務を止めず、既存のシステムからアプリ連携型病院情報システムへの切り替えの道筋を考えられる病院スタッフを養成することを、今期の講座では目指したい。


図1:病院情報システムの現在と近未来

 

全日病ニュース2024年5月15日号 HTML版

 

 

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