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ホーム全日病ニュース(2024年)第1056回/2024年6月1日号医師偏在を是正する規制的手法が必要

医師偏在を是正する規制的手法が必要

医師偏在を是正する規制的手法が必要

【四病協】医師過剰地域の診療科別・地域別の定員設定や開業規制

 四病院団体協議会は5月22日に総合部会を開催した。強力な医師偏在対策を講じるため、医師過剰地域において診療所開設を制限する規制的手法が必要との意見が複数の参加者からあり、異論は出なかった。財務省の建議に盛り込まれた医師偏在是正のために地域別診療報酬を導入するという手法に対しては反対する方針で一致した。
 厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、強力な医師偏在対策が打ち出せず、医学部臨時定員数を動かせない状況にある。会見した全日病の猪口雄二会長は「地域枠を設定して一定期間医師不足地域の勤務を義務付けてもそれが終了すれば都会に移ってしまう」と指摘。医師養成課程の偏在対策とともに、中堅医師に対する対策が重要と述べた。その手段として、効果的な経済インセンティブが必要との意見が総合部会で出たほか、猪口会長は、医師不足地域への医師派遣などを決める都道府県の地域医療対策協議会の全国版を厚労省に設置することを提案した。
 また、医師養成課程の医師に対しては、大都市への医師集中を緩和するための地域別・診療科別のシーリングが設けられている。しかし期待通りの効果を上げていないとの意見が多く、実態に即した医療ニーズの把握を含め、改善が必要との意見が複数あった。
 一方、大都会でも病院・診療所間の医師偏在があり、病院の医師は不足している。この是正のため、ドイツやフランスの制度を参考に地域別・診療科別の医師数を制限する規制的手法に理解を示す参加者が多かったという。
 2024年度診療報酬改定については、新設された地域包括医療病棟の施設基準が厳しく、設置の届出ができないという声が数多く上がっている。このため、四病協として、施設基準の課題を整理するため、実態調査を行い、意見をまとめる考えも明らかにした。
 また、病院の増改築の費用が高騰している中で、政府の補助金であるかつての医療施設近代化施設整備事業の復活を要望する。災害への備えの意義を含め、病院の老朽化への対応を求める。同事業は現在でも存続しているが、対象が極めて限定され、使いにくい制度になっているという。

 

全日病ニュース2024年6月1日号 HTML版

 

 

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