全日病ニュース

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14年度改定の告示通知:地域包括ケア病棟入院料 看護職員配置加算で看護職員は10対1相当に

▲都道府県向けの診療報酬改定説明会が3月5日に開催された

地域包括ケア病棟入院料
看護職員配置加算で看護職員は10対1相当に

【14年度改定の告示通知】
看護職員配置加算 看護師がみなし看護補助者に - 7対1からの移行を促す

 厚生労働省は2014年度診療報酬改定の告示を3月5日の官報に掲載、同日付で、改定項目の施設基準や算定の留意事項を通知した。同省は同日開催した都道府県や地方厚生局の担当者向け改定説明会で、それらを公表した。
 消費税対応分を除くと-1.26%となる今改定は、7対1に関して、①特定除外制度の廃止、②重症度・看護必要度の再編、③在宅復帰要件の導入、④短期滞在手術の改編と大ナタが振るわれ、別病床への誘導が図られた。
 3月12日に開かれた全日病の改定説明会で、厚労省保険局医療課の一戸課長補佐は「今改定は病床の機能分化と連携にしぼって行なわれた」と振り返った。
 主要な16項目が10月1日から施行されるため、各病院は半年の間に新たな病棟政策の選択が求められる。それだけに、届出が必要な項目の見逃がしがあり得る。厚労省は「くれぐれも届出の見落としがないよう注意してほしい」と注意を促している。

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 9月末で特定除外制度が廃止される7対1と10対1で療養病棟の支払いを選ぶ病棟には、この3月31日の入院患者は医療区分3とみなす措置がとられる。さらに、療養病棟の支払いに移行するうちの1病棟の2室4床は、15年9月30日までの1年間は出来高に変えることができるという特例処置が図られる。
 重症度・看護必要度については名称と項目の見直しが行なわれたが、7対1要件の15%という割合は据え置かれた。この見直しにともない、激変緩和として、10対1の急性期看護補助体制加算および13対1の看護補助加算1の施設要件である新看護必要度の割合は10%から5%に下げられた。ただし、10対1における看護必要度加算の基準(1=15%、2=10%)は据え置かれ、半年間の経過措置が設けられた。
 短期滞在手術等基本料の「3」は対象を21に増やして、入院5日目までの全包括とした上で、5日目までの退院は平均在院日数の計算から除外される。これまでは包括と出来高の選択制であったが、21の検査・手術は必ずこの点数を算定することになる。
 1入院払いということで点数の水準はかなり高いと厚労省は説明する。ただし、特別入院基本料や72時間の減算を算定している病院は「3」は算定できず、出来高となる。
 入院が長引いた場合、6日目からは出来高で算定、かつ、入院日から平均在院日数に算入することができる。これはDPCの病院も同様で、短期滞在手術等基本料の対象手術はDPCから除かれた。
 新たに要件とされたデータ提出加算だが、7対1でもとっていない病院が少なくない。そこで1年間の経過措置を設けるとともに、これまで年1回だった届出を5月、8月、11月、2月(各月20日)と4回に増やす。しかし、いったん届け出た上で2ヵ月間の試行データを出して医療課の確認を得てから正式な届出となるため、15年4月に間に合わすためには11月20日が届出の期限となる。
 7対1の在宅復帰率は分母と分子から転棟の患者が除かれた。退院先は、自宅と居住系施設以外は在宅復帰のアウトカム評価を課せられた施設である。

 

療養病棟 在宅復帰強化加算で7対1の受皿機能が鮮明に

 地域包括ケア病棟は看護配置の基本が13対1で、専従のリハスタッフを1人以上、専任の在宅復帰支援担当者を1人以上配置しなければならない。看護配置に関しては、特定入院料ながら看護職員の配置加算(150点)と看護補助者配置加算(150点)が設けられた。
 基本的には急性期的要素と高齢患者への対応を想定したものと思われるが、都道府県向け説明会で、一戸補佐は、この点をこう説明した。
 「看護職員の配置加算をとるためには、病棟全体の看護配置が10対1相当でないとできない。さらに、看護補助者を加えて7対1相当まで上げると看護補助者配置加算もとれるという構図になっている。これらは別々にもとれるのだが、考え方としてそういう形になっている」地域包括ケア病棟入院料の看護職員配置加算は50対1、看護補助者配置加算は25対1である。したがって、看護職員は10対1相当に、看護要員は7対1相当まで積みあがる。このそれぞれに「曜日や時間帯によって一定の範囲で傾斜配置」が認められる。
 その上で、施設基準は「平成27年3月31日までは、当該加算の届出に必要な看護補助者の最小必要数の5割未満をみなし看護補助者とすることができる」としている。
 一戸補佐は全日病の改定説明会でもこの問題に言及し、「この看護補助加算は本来はみなしは認めない。しかし、1年間は半数はみなしとしてよいとした。7対1からの移行をしやすくするためにだ」と説明した。
 70%とされた地域包括ケア病棟入院料の在宅復帰率要件の計算式は、分子に、在宅復帰強化加算をとる療養病棟への転棟が加えられた。
 一方、包括化されたリハは、リハを必要とする患者には「1日平均2単位以上」求められるが、リハは全員に提供しなければならないわけではない。また、リハのスタッフは疾患別リハ等を担当する専従者との兼務はできない。
 包括であるため、当該スタッフが提供した疾患別リハ等を疾患別リハビリ料として算定することもできない。
 療養病棟については、慢性維持透析管理加算(1日100点)の新設、超重症児(者)・準超重症児(者)加算対象の15歳を超えて障害を受けた者への拡大など、長期療養としての受皿機能の拡充が図られた。
 慢性維持透析管理加算は透析を毎日受けなくても算定できる。また、超重症児(者)等に関しては、1年の経過措置後の15年4月1日以降、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料を算定する患者を除いて算定日数を90日までとし、一般病棟からの移行を促す。
 療養病棟入院基本料1に新設された在宅復帰強化加算は、① 1ヵ月以上の入院患者で1ヵ月以上の在宅生活を送る患者の割合が50%、②病床回転率が10%以上というのが要件。病床回転率の10%は平均在院日数に換算すると304日に該当する。
 療養病棟は、長期患者の受け入れ環境が診療報酬の面からも整備されるわけだが、とくに、在宅復帰強化加算の届出は、7対1病棟に対する強いアピールとなる。
 このほか、同一建物の場合の訪問診療料(在総管、特医総管)の半額化(同一建物以外の場合の評価の1/4化)に関しては、末期の悪性腫瘍患者が対象外とされたものの、「真面目に取り組んできた医師が撤退しないか」との懸念も出ている。
 これに対して、都道府県向けの説明会で宇都宮医療課長は、「医師確保については医師会にもお願いし、そういう事態が発生した場合には、直ちに相談させいただき、医師会などから紹介していただくというようにしたい」と想定していることを明らかにした。