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ホーム全日病ニュース(2023年)第1030回/2023年4月15日号猪口会長が4期目の会長職を目指す意向を表明

猪口会長が4期目の会長職を目指す意向を表明

猪口会長が4期目の会長職を目指す意向を表明

【臨時総会】2024年度に向けて病院を取り巻く課題が山積

 全日病は3月25日、第11回臨時総会を開催し、2023年度事業計画・予算および2022年度事業計画の一部変更・補正予算の報告が行われた。冒頭挨拶では、猪口雄二会長が、4期目の会長職を目指す意向を表明した。猪口会長は、2024年度に向け、医師の働き方改革、医療・介護・福祉のトリプル報酬改定、第8次医療計画の策定、地域医療構想の見直しなど病院を取り巻く課題が山積しており、現執行部を多く変えることは望ましくないとの考えを示し、現体制の継続を求めた。また、厚生労働省の審議会などの委員に、若手を登用し、経験を積んでもらい、将来の幹部候補を育成する意義も強調した。

将来の全日病担う人材を育成
 猪口会長は冒頭挨拶で、2024年度に向け、課題が山積していることを説明した。

 医師の働き方改革は2024年度に施行され、新たな時間外労働基準が適用される。大学病院などで働く医師が、時間外労働を減らせば、一般病院での当直医の確保が難しくなるおそれがある。一般病院としては、宿日直許可を取得することで、労働時間の適用除外とすることが課題となる。猪口会長は、大学病院などの多くは、上限1,860時間の特例措置の指定を受けると予想されるが、「まだまだ進んでいないので、あと1年でどうなるか、非常に心配している」と懸念を示した。
 2024年度のトリプル改定に向けては、中医協や介護給付費分科会で、それぞれの報酬改定の議論が始まり、3月15日には両者の委員の一部が参加する意見交換会も開催されている。猪口会長は、「夏以降に議論が本格化する」と予想した。
 第8次医療計画も2024年度にスタートする。これまでの5疾病5事業および在宅医療に、今回はコロナ禍を踏まえ、新興感染症対応が6事業目に加わった。また、医療計画には、医師確保計画、外来医療計画なども含む。近く厚労省が、第8次医療計画の指針を示し、都道府県は2023年度中に計画を策定するので、猪口会長は、都道府県の議論に参加し、意見を述べていくことを求めた。
 一方、地域医療構想は2025年までの構想となっている。2025年以降の地域医療構想の方針を決めるため、2023年度に厚労省の「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」などで議論が行われると想定される。猪口会長は、「例えば、(高度急性期、急性期、回復期、慢性期の区分のうち)急性期と回復期の位置づけもまだ定まっていない」と指摘。地域の実情に沿った地域医療構想とするための議論に、積極的にかかわる必要性を強調した。
 さらに、現在、国会で審議されている「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」に、かかりつけ医機能の制度整備が盛り込まれている。猪口会長は、実際にかかりつけ医機能が明確化され、都道府県がそれを公開するための具体案がまとまるのは、2024年度以降になるとしつつ、全日病にとっての意義を示した。
 具体的には、「地域包括ケアの中で、在宅医療や高齢者施設等をバックアップする病院が、超高齢社会において不可欠になっている。全日病の会員病院の多くは地域の中小病院であり、かかりつけ医機能のあり方をしっかりと考えていくことが必要だ」と述べた。
 その上で、猪口会長は、「このような状況で、役員の多くが変わるということは避けたい。みなさまに認めて頂ければ、次期も続投したい。また、今後の全日病を背負っていける方に、国の審議会等の委員に入ってもらい、経験を積んでほしいということも考えている。そのために、次期執行部の体制をどうするかを定時総会までの間に、みなさまと相談したい」と述べた。

広島市で全日本病院学会を開催
 続いて、織田正道副会長が2023年度事業計画を説明した。

 猪口会長が指摘したさまざまな課題を踏まえ、全日病として日本医師会や四病院団体協議会、日本病院団体協議会などの団体と協力し、根拠に基づく提言や要望活動などを行っていく方針を示した。
 新型コロナについては、会員病院などに対して、厚生労働省・内閣官房など政府の最新情報を随時、提供するとともに、新型コロナに対応している病院への支援策を引続き要望していくとした。
 第64回全日本病院学会は、2023年10月14日、15日に、広島県支部を中心に、大田泰正支部長を学会長として、広島市において開催する。
 教育・研修事業では、開設者・管理者、医療従事者、医療安全管理者、特定健診担当者などを対象とした研修のほか、総合医育成事業、病院の多職種リーダー研修会、看護師特定行為研修指導者講習会など30を超える研修会、セミナーなどの開催を予定している。
 さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)など時代や病院のニーズに応える新規研修を検討する。また、全日本病院協会認定総合医、病院管理士、看護管理士、保健指導士、メディカルクラーク、ドクターズクラークなどの資格認定事業も実施する。現在、常設委員会は23設置されており、各委員会を中心に多方面にわたる事業を展開する。
 また、2023年度予算が報告された。経常収益は7億1,862万円で対前年度比1,900万円減、経常費用が7億1,822万円で同614万円減となり、経常増減額は40万円となっている。
 事業計画の変更を反映した2022年度補正予算の経常収益は7億3,773万円、経常費用は7億2,437万円で経常増減額は1,336万円となっている。

 

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  • [1] 事 業 報 告 書 決 算 報 告 書

    https://www.ajha.or.jp/about_us/plan/jigyou-kessan_2021.pdf

    見たところ、どちらの病院もコロナ禍前の一昨年と比較すると医業利益は大幅な ... 医療保険制度、介護保険制度の簡素化に向けたワーキンググループを開催した。

  • [2] 2021.9.15 No.994

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210915.pdf

    2021/09/15 ... コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジ~(岡山学会) ... ター構想」や「房総メディカルFIRM」 ... 約1000床となる光生病院グループを形.

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