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ホーム全日病ニュース(2023年)第1030回/2023年4月15日号診療報酬のコロナ特例の見直しの詳細が明らかに

診療報酬のコロナ特例の見直しの詳細が明らかに

診療報酬のコロナ特例の見直しの詳細が明らかに

【厚労省・事務連絡】初診からの電話・オンライン診療の特例は7月末まで

 厚生労働省は3月31日、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」を事務連絡した。政府が3月10日に示した5月8日以降のコロナ対策における診療報酬上の取扱いについて、明確にしている。電話・オンライン診療の特例の取扱いは、3月10日時点で明らかになっていなかったが、7月末で終了することがわかった。また、施設基準に関する特例の取扱いについては、別途、事務連絡で示すとしている。
 なお、今回の取扱いは、冬の感染拡大に先立ち、今夏までの医療提供体制の状況などを検証しながら、必要な見直しを行っていくものとしている。その上で、2024年度の診療報酬・介護報酬の同時改定において、恒常的な感染症対応として整理される。コロナの感染状況を注視しつつではあるが、基本的には、コロナ対応の診療報酬の特例は、今後、順次縮減・廃止が行われ、2024年度には解消されるものと考えられる。

8月以降は通常のオンライン診療
 外来の特例については、電話・オンライン診療の取扱いを以下に示す。
 電話・オンライン診療の特例は、7月31日で終了となる。7月31日までは、特例での初診からの電話・オンライン診療として、初診料の注2に規定する点数(214点)が算定できる。
 ただし、8月1日以降も情報通信機器を用いた診療を実施する場合は、2022年度改定で新設された初診料の注1 のただし書きに規定する点数(251点)を算定できるように、7月31日までに情報通信機器を用いた診療に係る施設基準を届け出なければならない。
 慢性疾患を有する定期受診患者などに対し、電話・オンライン診療を行った場合も、7月31日までは電話等再診料(73点)や外来診療料(74点)を算定できる。再診の場合も初診の場合と同じく、8月以降も情報通信機器を用いた診療を行う場合は、再診料または外来診療料の注1ただし書きに規定する点数(73点)を算定できるように、7月31日までに情報通信機器を用いた診療に係る施設基準を届け出る必要がある。
 コロナ禍で、医療機関への受診が困難になりつつある状況があり、緊急的な対応として、電話・オンライン診療の特例が実施された。一方、2022年度改定では、恒久的な取扱いとして、初診からのオンライン診療の評価を新設するとともに、オンライン診療における評価の基準を緩和する方向で見直した。ただし、コロナ禍の特例ほど緩い基準ではない。
 8月以降もオンライン診療を実施するためには、厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って診療を行う体制など、通常の基準を満たす必要が出てくる。また、初診からの電話診療は特例のみの取扱いであり、7月31日で終了する。
 また、外来での疑い患者の診療において、受入患者を限定しない医療機関として、発熱患者を診療する旨を公表している外来(いわゆる発熱外来)で、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合は、引続き院内トリアージ実施料(300点)を算定できる。「受入患者を限定しない医療機関」の要件を満たさない、受入患者を限定する医療機関が、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合は147点となる。
 なお、「受入患者を限定しない外来対応医療機関」に8月末までに移行するのであれば、300点を算定できる。

特定入院料等の評価は半分に
 入院における特例の取扱いは、以下のように従来の評価が半分になる。重症のコロナ患者が入院する特定集中治療室管理料などの特定入院料別の点数は3倍から1.5倍(6,336~2万4,476点)となり、中等症のコロナ患者が入院する一般病棟等の救急医療管理加算1(950点)の4~6倍の点数は2~3倍(1,900点、2,850点)になる。介護保険施設等からの受入れで地域包括ケア病棟等で950点を算定できる特例も設けた。
 なお、救急医療管理加算1は2022年度改定で1,050点になったが、特例では950点を基準とすることになっている(以下、同じ)。
 入院での感染対策の特例は、基本的に継続した評価が行われる。特定集中治療室管理料など特定入院料別に異なる倍数で、二類感染症患者入院診療加算(250点)に相当する点数が引続き算定できる(500 ~ 1,000点)。
 それ以外の入院料でも、二類感染症患者入院診療加算の点数が引続き算定できるほか、個室または陰圧室に入院させた場合は、二類感染症患者療養環境特別加算(300点、200点)が算定できる。初日はコロナ疑いでも算定できる。
 その他の入院関連の特例では、◇地域包括ケア病棟入院料を算定している病棟で、コロナ患者を入院診療した場合、在宅患者支援病床初期加算(300点)を算定できる◇療養病棟入院基本料を算定している病棟でコロナ患者を入院診療した場合、在宅患者支援療養病床初期加算(350点)を算定できる─ことなどを示している。
 なお、在宅患者支援病床初期加算も2022年度改定で見直されているが、特例では300点としている。

「簡易な報告」今後はできない
 ハイケアユニット入院管理料などと同等の人員配置をした病棟で、新型コロナ患者を受け入れる場合に、簡易な報告により、各入院料を算定できる特例について、すでに報告を行っているのであれば、引続き各入院料を算定できる。しかし、今回の事務連絡以降(3月31日以降)に、新たに届出を行うことはできない。

回復患者の評価も一定の見直し
 コロナの回復患者の転院受入れの特例は、減額の方向で見直されるものの、一定の特例の評価は継続する。引続き入院管理が必要な患者を受け入れた病院は、どの入院料であっても、最初に転院した医療機関における入院日を起算日として60日まで二類感染症患者入院診療加算の3倍(750点)を算定できる。さらに、14日まで救急医療管理加算1(950点)を算定できる。
 高齢者施設等における特例については、従来の特例を継続した上で、オンライン診療を行った場合の新たな評価が設けられる。従来の特例では、高齢者施設等の入所者に緊急に求められた往診を実施した場合は、救急医療管理加算1の3倍(2,850点)を算定できる。新たな特例では、往診ではなく、看護職員とともに施設入所者にオンライン診療を実施した場合に、救急医療管理加算1(950点)を算定できる。
 入院調整における特例は、今回、新たに評価されるものだ。コロナ患者の入院調整を行った上で、入院先の医療機関に対し診療情報を示す文書を添えて、患者の紹介を行い、診療情報提供料(Ⅰ)を算定する場合は、救急医療管理加算1(950点)を算定できる。
 そのほか、在宅医療、検査、歯科、調剤を含め、さまざまな特例の見直しについて、明らかにしている。

 

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  • [1] 2021.11.1 No.997

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/211101.pdf

    2021/11/01 ... また、新型コロナ禍で授業などがオ. ンライン化し実際に集まる場が ... 病に対しては、過去1年間の緊急往診 ... 「初診の外来件数のうち、『医療資源.

  • [2] 2021.9.1 No.993 コロナ禍での病院経営~持続可能へのチャレンジを ...

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210901.pdf

    2021/09/01 ... 新型コロナの医療と一般. 医療を両立させないといけない」と訴. えた。 新型コロナ患者の入院を制限し、自. 宅療養を基本とする体制に政府が転換. した ...

  • [3] 2021.7.1 No.989

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2021/210701.pdf

    2021/07/01 ... 「新型コロナウイルス感染症に係る. 予防接種の実施に関する手引き(3.1. 版)」(2021年6月4日改訂)では、「接. 種実施医療機関の医師が接種後も継続.

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