主張・要望・調査報告
「病院のあり方に関する報告書」
はじめに
公益社団法人全日本病院協会(以下:全日病)は、「関係者との信頼関係に基づいて、病院経営の質の向上に努め、良質、効率的かつ組織的な医療の提供を通して、社会の健康および福祉の増進を図ることを使命とする」という理念を達成するため活動を重ねてきた。
会員病院2546(2021 年5月現在)を有する団体として、客観的な現状分析を行い、医療、病院、全日病のあり方、医療提供体制等の今後進むべき方向について議論を重ね、できるだけ具体的に内外に示すことがその責務であると考え、行動してきた。
これらの議論は、「病院のあり方に関する報告書」としてまとめられ、1998 年以来ほぼ隔年で発刊され、8度目となる2015-16 年版では、「高齢社会がピークに達する2025 年の医療・介護提供体制のあり方の検討と提言」を行った。
2025 年に向けて、国は医療・介護の提供体制を「地域医療構想」、「地域包括ケアシステム」等にて集約化や連携推進をすすめているが、団塊世代が後期高齢者になり、さらに高齢者人口がピークアウトする2040 年に向かって確実視される人口減少・高齢化の加速は、他産業も含む各医療圏そのものの既存体制さえも大きく変える可能性がある。
加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で明らかとなった医療・介護分野における諸課題は、国や各自治体、提供体制側それぞれにあり方の再考を迫るものである。
今回の報告書では、20 年前に全日病が主張した内容に関する結果を振り返り、20 年先の日本についての国や専門家の予測をみつつ、改めて理想的な医療・介護提供体制の再構築を提言した。関係者各位に報告書の理解と実践を強く求めるものである。
本報告書は、これまでと同様、全日病の具体的な活動の基本と位置づけられ、各種委員会を中心に種々の取り組みがなされる予定である。
公益社団法人全日本病院協会
会長 猪口 雄二